市民と考えるはずだった10年間と、今回の答弁
南芦屋浜の涼風町5番の教育施設用地について、市は2016年、既存施設を活用する間にも、住民と将来の土地利用を考えていくと説明していました。その約束と、その後の議会答弁を振り返り、いま市に何を求めるのかをお伝えします。
2016年に当時の佐藤副市長が示した説明は、スポーツ施設として活用する間にも、将来の土地利用を住民とともに考えていくというものでした。その後の経過を問い続けました。
しかし、2024年6月に私が議会で質問した際、高島市長の答弁は「改めて現状についての説明機会を設ける予定はありません」というものでした。
同じ答弁では、契約終了後の活用方法や地域の声を聞く時期を今後検討すること、地域交流や防災機能について、地域の声を踏まえた募集要件を考えることも述べています。将来にわたって意見を聞かないという答弁ではありません。しかし、現状について改めて説明する機会は設けない、という姿勢でした。
とても矛盾している見解を述べていることに違和感しかありませんでした。まさに、市民とともに考えると約束していた市が、いつから、このような答弁を平然とするようになったのでしょうか。私には、市民との約束を反故にしていることへの自覚も、説明責任を果たそうとする姿勢も感じられませんでした。
私は、市の土地であることや、市民が利用できる場所であることさえ、十分に知られていないのではないかと指摘してきました。この土地を市が取得した目的や、これまでの経緯、現在の使われ方が共有されないままでは、住民と将来を考えるための共通の土台ができません。
十分な情報が伝えられていなければ、市民がこの土地の将来像を描くことも、期待や不満を声にすることも難しくなります。現状を維持できるのかという不安だけが先に立ち、「今よりもっと良い場所にできるのではないか」という希望を持つ余地があるのに、それが狭められてしまいます。
こうした市の進め方は、市民がこの土地の可能性を知り、より良い未来を求める機会そのものを奪っていると、私は考えます。
今回、9月9日の一般質問では、国際文化推進担当部長から、これまで住民への説明や意見を聞く機会が十分でなかったことについて、お詫びする趣旨の答弁がありました。私は、ようやく市側から、これまでの対応に課題があったことを認めたものと受け止めています。
この部長は、今年4月にこの分野を担当することになったばかりです。それでも、過去の議事録をしっかりと読み、市民との約束や、これまでの当局側の発言を重く受け止め、その経緯を理解しようとしてくれていました。そして、その約束に沿った取り組みを進めてこなかった市の対応について、お詫びの言葉を述べたのです。
一方、私がこれまでこの問題を問う中で、高島市長・御手洗副市長から、対応に不備があったことを認めて謝罪する言葉を聞いたことはありません。
そんな中で、部長一人が過去の経緯を真摯に受け止め、市の職員として責任を感じながら、誠実に答えようとしているように私には映りました。だからこそ、着任したばかりの部長が、これまで積み重なった問題の説明と謝罪を引き受ける姿には、酷なものを感じました。
市長や副市長が代わったからといって、過去に行政が市民に説明してきたことの重みまで失われてよいはずがありません。これまでの経緯を引き継ぎ、行政としての責任を果たすことこそ、市政を担う立場に求められます。
今回の問題は、今年になって突然生じたものではありません。10年間にわたる行政判断と、その間の取り組みの積み重ねによるものです。契約満了までの限られた時間の中で、現在の担当者だけが対応を迫られていることに、私は疑問を感じています。
本来、問われるべきなのは、長年この土地の活用を担ってきた組織と、その方針を進めているトップの責任です。住民説明会を任された今の担当者だけに、過去の対応の責任まで背負わせてよいのでしょうか。
今回の件は、明らかに行政の責任逃れと怠慢だと、私は考えています。担当部長が謝罪する一方で、市長・副市長は、この経緯をどう受け止め、どのように責任を果たすのか。いつから芦屋市は、都合の悪いことに対して市民に向き合わない、こうした問いにトップが真摯に答えない市政になったのでしょうか。
大切なのは、この答弁を今後の進め方にどう反映するかです。今回の2回の説明会だけで、これまで十分に共有されてこなかった経緯や課題を伝え、住民の意見を受け止められるのでしょうか。寄せられた意見によって、募集条件や進め方を見直す余地はあるのでしょうか。
住民とともに考えるという、当初の説明に立ち返っていただきたいと思います。しかし、現行のスケジュールでは、無駄に過ぎたこの10年はもう取り戻すことが難しいところまで来ています。
参考:2016年5月23日 第4回意見交換会議事録 3・8・20~21ページ
たった4日前のお知らせで、どれだけの市民が参加できるのか
そして今回、10月10日と14日の2日間、ようやく住民説明会が開催されることになりました。
しかし、最初の説明会のわずか4日前に、近隣の約700世帯へチラシが配布されたという周知方法で、果たしてどれだけの方が参加できるのでしょうか。
このような直前の案内では、市が本当に多くの市民に参加してもらい、幅広い意見を聞こうとしているのか、疑問を抱かざるを得ません。私自身、このブログでの説明も遅くなり、説明会直前のご案内になってしまいました。
それでも、今回の説明会について、事実を一人でも多くの方に知っていただきたいと思っています。
面倒だからと妥協し、諦めてしまえば、そこで終わりです。より良い未来をつくる可能性まで、自ら手放すことになってしまいます。この土地の活用は、南芦屋浜地区のまちづくり、ひいては芦屋市の将来にとって、大きなチャンスです。その可能性が軽視されたまま、十分に検討されずに話が進んでいくのを、私は見過ごすことができません。
ここで市民の声が十分に届かなければ、これまでと同じような土地活用が、十分な議論のないまま続いてしまうのではないか。私は、そのことを強く懸念してきました。
仮に既存の施設の状態のまま継続して残ることが、必ずしも悪いというわけではありません。しかし、それ以外の可能性を十分に検討しないまま、これまでと同じ条件で次の事業者を募集してしまえば、もっと市民にとって価値のある施設や、新しい活用方法が実現する機会を逃してしまうかもしれません。
防災の拠点となる屋内施設、子どもたちが放課後に安心して集える居場所、読書や交流を楽しめる場所など、10年前から寄せられてきた住民の願いがあります。
市が整備する方法もあれば、民間の力を生かす方法もあります。
今ある施設をどう継続するかだけではなく、この土地だからこそ、これから何が実現できるのか。その可能性を、もっと広い視野で考えていただきたいのです。
市民のために取得した土地です。
土地の使い方を決める前に、まず市民の声を聞く。その当たり前のことが、なぜ10年間も実現できていなかったのでしょうか。
そして、その責任を曖昧にしたまま、また次の事業期間へ進んでしまってよいのでしょうか。
私は、今回の説明会が、単に事業者募集の条件を説明して終わる場ではなく、これまでの経緯を振り返り、住民の声を今後の土地活用に反映するための機会となることを願っています。
10年越しの市民との約束を、今度こそ形にしてほしい。
私は、まだその思いを諦めてはいません。そのためにも、お時間の許す方は、ぜひ今回の住民説明会に参加し、この土地に望むことや、これからの地域に必要だと思うことを伝えていただければと思います。
私も引き続き、市民の皆さんの声が将来の土地活用に反映されるよう、行政の対応を確認してまいります。
なお、今回の土地活用について取り上げた、2026年9月9日の一般質問では、これまでの経緯や市の対応、今後の事業者募集のあり方などを詳しく取り上げています。
質問内容や公式録画については、こちらをご覧ください。
2026年9月9日 一般質問「涼風町5番教育施設用地の活用について」










