■ 修正動議の目的
この議案内容についてはこちらでご説明しています。
提出者は修正案の説明の中で、「修正の目的は、JR芦屋駅南地区再開発事業の見直しを図り、新たな事業手法の検討を求めるため」と言われていました。
つまり、平成30年に議会で議決され、すでに事業認可もある第二種市街地再開発事業を含む都市計画決定を、一度白紙にするという発言をされていました。
この説明を受けた後、提出者に「この修正案はいつ思いついたのか?」と私が尋ねると、「問題点はずっと認識していた」と言われました。さらに明確な月日を尋ねると、「かなり前から」という発言がありました。
もし以前から事業手法を変更させたいと感じていたのであれば、行政が縮減案に着手する前に、今回のような要求をしておくこともできたはずです。
ところが、その後、別の提出者からは「11月26日に行政が見直し案を示した内容を見るまでは、以前はこういった案は考えとして持ち合わせていなかった」という発言がありました。
今度は最近考えついたという答弁だったわけですが、そうであれば修正案を提出するまでに2週間足らずしかなかったことになります。そんな短期間で考え出された修正案と、長期にわたり多くの方を巻き込んで構築してきた計画を、さらに半年間かけて再算定した行政の原案とでは、比較対象にならないと言わずにはいられませんでした。
■ 説明を聞くほど、話の土台が揺らいで見えた
再算定を行い、事業手法を再度検討した結果、行政としては現計画をベースに事業費縮減を行った場合の「E案」が、もっとも実現可能な計画となる事業手法であると示していました。
ここで提出者は、下記の説明資料A~Fの案を並べた6パターンについて、「何を根拠に◯✕をつけているのか。再開発ビルありきの事業に誘導させるために◯✕をつけているのではないか」と指摘されていました。
しかし、これはこれから新たな手法を選ぶために6パターンを比較していた資料ではありませんでした。実現性の有無にかかわらず、事業費や市民提案等を含むこれまでの案を並べることで、相対的にわかりやすく説明するために◯✕で示されていたのです。
事業手法の検討に係る議会への説明は、平成25年の時点ですでに終了しています。
別の質疑では、当局から「A案では、横断距離は長くなるにもかかわらず乱横断の危険性は改善されないままであるため、交通に係る安全性は現状より悪化する可能性が高いのではないか」と告げられると、提出者は「歩道橋を設置すればよいのでは」と返答されていました。
その答弁を聞いていて私は思いました。「問題が起これば後から行政が考えればよい」と言うかのように、代替案を出さずに丸投げするだけでは、事業を進める段階で追加の費用が増え、かえって事業費が膨らんでしまう状況をつくり出すことになります。
冒頭の説明で提出者は「説明資料のA案を基軸にする整備計画を求めている」とも発言していましたが、別の提出者は「街路事業であればA案にこだわっているわけではない。B案も選択肢にある」と述べており、ここでも2名の発言内容が食い違っていました。
このように、提出者2名の答えが真逆であったり、受け答えが統一していなかったりしたため、修正案に対する考えについても信憑性が薄れていったのです。
■ 根拠のある計画としては受け取れなかった
次に私が「当局の案では、駅南側にバスが260便移るということだったが、修正案ではどうなるのか?」と尋ねると、提出者は「今後の見直しは阪急バスとの交渉次第」と発言されました。
このことは、現計画の手法以外にバス便についてのエビデンスもなく、安定した整備計画を示せていないということになります。今から他の事業手法に変更するとなると、交渉はゼロからのスタートになっていくわけです。
整備計画が決まらなければ、何年もバス便は南口に移行されることもありません。
行政はこれまで、警察・公安委員会・交通事業者との協議を重ね、確認をとられた内容をもとに計画決定してきました。これと同様に、提出者も事前の確認を経て、実現可能だという根拠を示したうえで修正案を提出する必要があったのではないかと感じました。
■ 駅前だけの話ではなく、広い範囲の暮らしに関わること
再開発事業は、JR芦屋駅前を利用する人だけの交通整備ではありません。昭和21年から続いている地区における駅前広場に係る都市計画決定は、南芦屋浜の埋立て計画と連動しており、交通導線として広い範囲の市民の方に影響があるのです。
南芦屋浜地区の交通利便性は、駅前広場が未完成のために、駅北側の交通混雑やバス便の不足など、さまざまな歪みや課題が発生してきました。現在に至るまで、交通課題は解決されてきませんでした。
再開発事業が行われれば、芦屋浜・南芦屋浜などJR駅より南側に住まわれている方のバス通勤や通学の時間が短縮され、「何もしなくても自分の家に駅が近づいてきてくれる」という状態になるはずでした。
しかし、再開発されないとなると、今後、バスの増便が保証されるのかもわからなくなってきます。
■ 市民の利益と言いながら、失うものが大きすぎる
提出者は「市全体の市民の利益のためこの案を提案している」と言われていましたが、都市計画変更決定には約2年以上を要します。地権者との協議をゼロからスタートさせると、再開発事業の施行期間を優に超える、先の見えないスケジュールになると思います。
また、計画の変更に伴って、次年度の国庫補助金に及ぼす損害額や、事業費のコストを超える負担額も発生するおそれがあります。「入りが減り、出が増える」状態になることが、市民の利益のためになる選択であるとは思えず、私には理解できませんでした。
むしろ、スケジュールやこれまでの計画の過程を見ても、今の段階で事業手法を変更することは、市民に大きな損失を与えると感じています。
■ 地権者や職員が積み重ねてきたものまで軽く見てはいけない
提出者は、「街路事業なら、地権者が少なく合意形成が容易」という発言をしていましたが、街路事業であっても、地権者の賛否にかかわらず立ち退きが前提となります。
再開発事業を行っていくうえで、粘り強く協議を重ね、地権者との信頼関係を作り上げてきた職員に対し、提出者の考え方はその労力を軽んじているように思えてなりませんでした。
マスコミ報道では、地権者の賛成を得られていないことが印象づけられておりましたが、進捗状況を聞いていると、実際に反対されている方はごくわずかであり、交渉が進むにつれ、すでに承諾してくださっている地権者のほうが多いこともわかっています。
街路事業にするにしても土地の買上げが必要であり、地権者との協議が始まる頃に言うような話ではありません。人生設計が変わる方々の転居に伴う心的ストレスを考えると、慰謝料を賠償する事態にまで発展する可能性もあるような状態なのです。
■ 今ここでひっくり返すことの重さを、私は見過ごせない
再開発事業を都市計画決定、事業決定してきた議会が、計画の変更に伴う弊害や損失が発生する今になって、実現が困難なことを突如要求してきたことは、市民や行政の信頼を失うものだと感じます。
また、事業手法を変えることは、原則としてこれまで受け入れてきた国費の交付根拠を失い、返還につながります。次年度の国庫補助金についても要望できず、街路事業にしても補助金がもらえるという確証はありません。
今回の縮減案は、事業手法を変更することが目的ではなく、原案に反対した議員からもそのような表明はありませんでした。都市再開発事業に係る特別会計予算が否決になったのは、総事業費が高いという指摘があったからであり、事業手法の変更を求める意見は特になかったのです。
コストの削減を求めてきた議員に応えるため、行政は立ち止まり、経費を見直していた期間にすぎません。あらゆる状況を踏まえると、これ以上の減額で事業を行うことは不可能であり、今後の国・県・地権者・JRといった多くの関係者との行方から見ても、この定例会で否決している場合ではないと判断しています。
提出者2名は、根拠に基づく整備計画を示せておらず、街路事業は実現性に乏しいことがわかります。芦屋市の長年にわたる事業計画をひっくり返してまで、この修正案が良い結果を生むと判断することは、私にはできませんでした。
当局からも、あらゆる状況を踏まえ、「事業手法を変えることは不可能であり、実現性はない」とはっきり示されていました。12月議会でこの予算の執行を承認しないかぎり、再開発事業の凍結を意味することは明確です。
「再開発事業を白紙撤回にする」ということでここまで計画を狂わせ、行政が提案するたびに否決が続くようでは、本意が何なのか、とても理解しがたい印象を受けました。
それに比べ、行政が提示した縮減案は丁寧に分析されていたと受け止めています。よって、議員提出議案の修正案には反対しました。












