常任委員会視察1日目
建設公営企業常任委員会のメンバーで行政視察に茨城県の土浦市役所に行ってきました。
「土浦市では高齢化や公共交通空白地域の拡大という課題に対応するため、様々な交通 手段の導入が進められてきた。本市でも現在、公共交通網から離れている山手地域にお いてデマンド型乗合タクシーの実証運行を行っている。今回の視察は、コミュニティ交 通や「つちうらMaaS」の実証実験結果から学ぶことを通じ、本市の将来に向けた公 共交通政策の参考とすることを目的としており、視察先として選定した。」というのが目的です。
土浦市の公共交通に関する取組概要(視察まとめ)
1.市の概要
市制施行:1940年11月3日
人口:141,547人(2025年)
面積:122.89㎢(うち霞ヶ浦9.72㎢)
特徴:東京から約60km圏内に位置し、筑波山麓の里山から霞ヶ浦沿岸の低地まで多様な地形を有する都市近郊農業地帯。
2.公共交通の主な種類
鉄道 :JR常磐線(荒川沖・土浦・神立の3駅)
路線バス: 関東鉄道・JRバス関東が運行
コミュニティ交通 :「キララちゃん」(中心市街地)、「つちまるバス」(南部地域2コース)
その他の交通 :のりあいタクシー土浦(65歳以上対象)、地域連携公共ライドシェア(4市連携)
3.主な取組
土浦市地域公共交通計画(R4〜R8)に基づき、7地区で地元運行協議会を設立。8人乗り小型バスを運行。
当初は目標値未設定で効果測定が困難だったが、後に設定。
運転手不足が依然として課題であり、来年度以降の本格導入は未定。
(2) 地域連携公共ライドシェア
背景:タクシー運転手不足・バス減便による交通空白地の拡大。
実施体制:つくば市・土浦市・下妻市・牛久市+Community Mobility(株)による共同事業(2025年1月開始)。
内容:デジタル予約制のオンデマンド型自家用有償旅客運送。
仕組み:「ドライバーバンク」で募集・育成・運行を一元管理。登録ドライバー75人(2025年7月時点)。
課題:ドライバー維持・バックアップ体制のコスト負担。
(3) つちうらMaaS推進協議会の取組
関東鉄道(株)が土浦市・商工会議所等と設立。
国交省「日本版MaaS推進・支援事業(R2)」採択。
実証内容:
・グリーンスローモビリティ運行
・「乗換案内」アプリでのチケット販売
・電動キックボード走行実験
・AIコミュニティバス(顔認証・マイナンバー対応)
・自動運転一人乗りロボ「ラクロ」走行実験
結果:利用者数・採算性の課題により、社会実装には至らず。
4.まとめ
土浦市では、地域特性を活かした多様なモビリティ実証が進められており、特に「ライドシェアによる広域連携」と「MaaSによる移動支援・観光振興」の両輪で課題解決を目指している。一方で、やはり運転手確保と採算性が今後の持続的運用の鍵となっている。
私の感想
土浦市では、高齢化や公共交通の縮小が進む中で、地域の実情に合わせた多様な移動手段の導入に挑戦しており、実証を重ねながら新しい仕組みづくりを模索している様子がうかがえました。市長の公約にも位置づけられており、治験に関する予算も十分に確保されている印象を受けました。
一方で、地方都市特有の「自家用車中心の生活構造」が根強く、公共交通の需要を創出すること自体が難しいという現実にも直面しているようでした。利用者が少ない背景には、周知の方法にも課題があると感じました。利用者がいないと継続が難しくなり、いったん中止された地域では再開が困難になるという話も印象的でした。
利用者が少ない要因の一つとして、現時点では多くの住民が自家用車を利用しており、移動に困っていない環境にあることが挙げられます。しかし、将来的に高齢化の進行等により移動手段が必要となった際、今のうちに事業を確立しておかなければ対応が難しくなることが懸念される。それは本市においてもいずれくる問題でもあると感じました。
国が示すMaaSの概念には段階的な発展モデルがあり、土浦市はその中でも「情報提供の一元化(レベル1)」に位置づけられます。今後は、交通手段の統合予約・決済(レベル2)や、定額制・パッケージ型のサービス(レベル3)へと発展していくことが理想とされていますが、事業者間連携や制度上の課題が多く、全国的にもその実現は容易ではないようです。
土浦市のMaaS実証は、地域課題に即した新しい交通モデルを探る先進的な試みとして意義深い。一方で、利用者数や採算性などの壁を乗り越えるためには、「国が目指す広域的なMaaS構想」と「地域が本当に必要とする移動支援」とをどう結びつけるかが鍵になると感じました。グリーンスローモビリティやライドシェアなどの試みは、地域に合った移動のかたちを考えるうえで貴重な示唆を与えるものであり、本市においても、データ分析を踏まえた持続可能な交通システムの検討が求められます。
いくつか質問もさせていただきましたが、本市が今後、同様の取組を検討する際には、他市が費用をかけて実証したデータを活用し、懸念点を踏まえた上で導入手法を検討することが、より効率的で現実的だと感じられました。











