要望書は本当に地元の総意?行政とブロック会長の認識のズレ
6月21日と7月19日に行われた10ブロック会との協議が、誰でも自由に参加できる形式であれば問題なかったのですが、行政側が「10ブロック会の一員が出席している」と認識していたところ、実際にはそうではなかったことが今回の問題です。10ブロック会メンバーが不在のまま、誰が協議に出席していたのか、その実態は依然として不透明です。行政が「10ブロック会のメンバー」だと認識していた人たちが、実はそうではなかったことを公に認めない限り、不信感は拭えません。
9月20日に行われた10ブロック会の緊急会議では、問題がここまで深刻化する中で、ブロック会長からきちんと説明がなされることを、内部でも期待していました。説明は文書で提出され、ブロック会長は「要望書の提出者は10ブロック会としてではなく個人」という主張や、「協議への参加を行政側から求められた」と説明をしています。これらの主張は、行政側の説明とは食い違いがあります。県と市は、「要望書は10ブロック会として提出され、地元の総意を代表するものであった」と認識しており、協議についても「10ブロック会からの申入れ」と報告しているので、双方の見解に大きな相違があります。
しかし、結果的に要望書が10ブロック会の名義で「地元の総意」として行政に認識されてしまっていることを踏まえ、ブロック会長が提示した説明資料に対して、要望書に関する誤認や拡大解釈があったと判断されました。その結果、ブロック会長に対して要望書の正式な撤回を求める結論に至り、議決を取ることになったというわけです。行政側とブロック会長の主張がこれほどまでに食い違うのは、非常にいい加減な状況です。この協議の結果を通じて、まちづくりの一つの大きな決定に影響を与えた以上、双方の見解の違いという根本的な問題を放置することはできません。しっかりと説明責任を果たしてもらいましょう!
行政とブロック会長の主張が真っ向から対立!要望書の正当性を探る
そこで、私は県と市へ質問状を提出しました。そして、県と市から次の通り回答が返ってきました。ここでは、ブロック会長が組織内で説明した資料も合わせて、両者の主張を確認していきます。
- 1.地元住民から「釣りによる迷惑行為のために困っている人がいる」と 10 ブロック会会長の申し出があったため、協議の場を持ちました。
- 3.当方は、10 ブロック会会長や住民に対して「釣りを全面禁止にしたい」と提案していません。
- 4.釣り全面禁止の要望を「地元の総意」とする根拠、芦屋市の連合自治会の一つである 10 ブロック会から釣り全面禁止に関する要望書が提出されたためです。
- 5.当方が要望書を「地元の総意」として受け取ったのは、10 ブロック会の要望として判断したためです。ただ、この時点で 10 ブロック会構成員の詳細については知り得ませんでした。
- 6.当方は、7 月 19 日の協議の出席者については相手方の判断に委ねているため、「出席者は 10 ブロック会のメンバーであるという認識の上で協議に臨みました。当方が10 ブロック会のメンバー以外に特定の出席者を指名し、協議への出席を要請したこともありません。
- 1.6月21日の協議には市は出席しておりません。また、市が県から会議の報告を受けたのは、6月24日です。
- 2.10ブロック会会長から提出された要望書に対する協議の場として開催されたものです。
- 3.市から、10ブロック会会長等に対して「釣りを全面禁止にしたい」と提案していません。
- 4.釣り全面禁止の要望を「地元の総意」とする根拠、芦屋市の連合自治会の一つである10ブロック会から釣り全面禁止に関する要望書が提出されたためです。
- 5.要望書は10ブロック会から提出されたされたものであり、「地元の総意」として認識したものです。
- 6.7月19日の協議の出席者については要望者の判断に委ねているため、特定の出席者を指名し、協議への出席を要請したことはありません。
- 7.7月25日午前に涼風町自治会会長から電話があり、涼風町が棄権していたことを把握しました。
👉芦屋市 都市政策部都市基盤室道路・公園課へ、孝岡からの質問状
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④ あくまで釣り被害を受けている被害者に対して県が出席を要請したものです。
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⑥「10ブロック会から・・・協議を行いたい」と要請したことはありません。それまで南護岸の迷惑行為について県と協議していた涼風町自治会・南護岸環境対策委員会を、涼風町自治会が規約違反と称して県との折衝権限をはく奪したことにより、県が今後の打合せを進める術が無くなり、困り果てて、近接する自治会に相談をかけてきたことによります。
- ⑦ 要望書の提出者は10ブロック会ではありません。正しくは会長名です。
- ⑨ 出席者は釣り人の迷惑被害を無くしたいと願う、近隣住民有志であり、県から出席を要請された方々です。なお、この時の出席者の人数や居住場所などの情報が県・市から漏洩していることは由々しきことと考えています。行政を司る人間としてあってはならないことです。
- ⑪ 協議の出席者は10ブロック会のメンバーとしてではなく、地元住民有志として県から依頼された方々です。
- ⑬ 会合についても県からの要請を受けたメンバーが出席しており、10ブロック会からの申し入れではありません。
- ⑮「地元の総意」という言葉は県の担当者の言葉です。
(参照:以上、10ブロック会提供の資料「9月20日に行われた10ブロック会会議の資料」より引用)
協議の事実関係と要望書に生じた不一致を解明する
お分かりいただけたでしょうか。ブロック会長が10ブロック会の正規メンバーに説明していた見解と、行政の認識がまったく異なるという意外な展開になりました。最初に協議を持ちかけたのがどちらだったのかについても、ブロック会長は「県から」と説明し、県は「10ブロック会会長から」と回答しています。また、出席者に関しても、ブロック会長は「10ブロック会のメンバーとしてではなく、県から依頼された方々」と述べているのに対し、県は「10ブロック会のメンバーである」と主張しています。
さらに、一番驚いたのは、要望書の取り扱いについての食い違いです。もしブロック会長の言うことが正しければ、「要望書は個人として提出したものであり、10ブロック会の総意を代表するものではない」ということになります。しかし、そうであれば、行政側の「要望書は10ブロック会の名義で受理されており、10ブロック会の総意を反映したものと認識している」という説明は真逆の回答をしていることになります。
もしも、公文書(回答書)で議員に対して事実と異なる記載があった場合、それが意図してであれば文書偽証となり、大きな問題です。しかし、職務の犠牲を払ってまで虚偽の報告をするとも思えません。または、この食い違いは「うっかり間違い」といったことで済む話なのでしょうか。行政がそのような単純なミスをするとは考えにくいものの、すでに関係者が意図せず騒動に巻き込まれ、地域全体に影響が広がる結果を招いていることを行政には自覚してもらいたいと思います。重大な決定であるにもかかわらず、この結果を自分たちは関係ないと人ごとのように過ごし、この状況を招いた責任を感じていないのは疑問です。これのどこが10ブロック会だけの問題なのでしょうか?むしろ巻き込まれているのは、本来関係のない自治会組織の人たちの方です。
次のNo.で、私は実際にどのような協議が行われていたのかを解明するため、協議録を取り寄せることにしました。それでは、実際に6月21日と7月19日の会議録の内容について解説していきます。
No.8 兵庫県が決定した南芦屋浜南護岸等の『釣り禁止』の裏に隠された驚きの真相!につづく・・・『釣り禁止の決定は既定路線?県と市の協議録から浮かぶ疑問』