再議請求について
令和2年3月26日の臨時会において再議が行われました。芦屋市では初めてのことだったようです。再議とは市長から議会への''拒否権"であり、質疑・討論・予算の採決のやり直しを議会に求められたことになります。再議の場合、可決するには2/3以上の14名の賛成が必要となります。再議の内容は以下の通りです。
令和2年第1回芦屋市議会定例会において、令和2年3月23日に修正可決された「第20号議案 令和2年度芦屋市一般会計予算」及び「第23号議案 令 和2年度芦屋市都市再開発事業特別会計予算」については異議があるため、再議を求めるものでした。議案名は「第23号議案令和2年度芦屋市都市 再開発事業特別会計予算に対する再議の件」となります。
再議の内容は、3月23日の本会議で修正可決した第20号議案と第23号議案について賛成か反対かを採決することです。
再議の結果
<修正可決の賛否>令和2年3月26日
再議の場合、議長は表決に参加するため21名で採決しました。再議の結果、先の修正可決に対して賛成が14名に達しなかったため『否決』となりました。
この時点では提出者の修正案は認められなかったということになります。ただ、これは審議のやり直しが認められただけということであり、修正案が否決になったわけではありません。再度採決のやり直しが行われました。
再び原案と修正案の議決の結果
原案ではなく修正案の方を賛成するのか、修正案を除いた原案だけを賛成するのかというような採決になるため、議決結果だけを見ると理解が難しくなるため、簡単に修正案だけを見た場合の賛否の結果をお伝えします。
<修正案の再賛否>令和2年3月26日
議長は表決に参加しないため20名で採決した結果、賛成多数により修正案は『可決』しました。修正案に賛成をした議員は、市の提案する原案に反対したということになります。
一度目の結果と違うところは、この再議に賛成した維新の議員2名が、修正案には反対したということです。この後、改革維新の会は分断し、再議に反対した1名の議員が会派を離脱し、会派に属さない議員となりました。
👉芦屋市ホームページ『令和2年第2回臨時会 議案等審議結果一覧表 議員別』
暫定予算審議はなく閉会
修正案の内容では、特別会計の国庫の補助金が0円となっているため、補助金の申請ができないことを意味し、再開発事業をストップしなければならないことになります。
結局のところ、この再議の意味は議員に対して「拒否の重要性を感じて慎重に審査をし直してほしい。」という市長のお願いでもあったのですが、再議が可決してもなお、議員側が修正案を取り下げず、原案が再度否決になった訳です。
再議をしても結果は変わらずでした。再開発事業に係る予算が使えない状態になってしまった以上、JR芦屋駅前整備に関する用地取得費や補償費に係る予算が現段階でありません。
再議によって「審議をやり直す」というのことは賛成多数で決まりましたが、その後、またもや原案が否決になったということは、12名の議員の意思は市の原案を断固として認められないということを意味しているのでしょうか。
市長から議長へ暫定予算審議の申し立てがあったかどうかは聞いていませんのでわかりませんが、そのまま議会は閉会しました。
再開発はスピードが勝負だと聞いています。遅れれば遅れるほど補助金も減る可能性が高く、地価や物価の高騰等にかかる事業費もますます膨らみ、事業の進みが難航するような気がしています。
「この修正案は再開発事業を中止するためのものじゃない」と言われ、コスト削減の見直しをさせたいだけならば、予算を通して進みながら修正をかけて調整することもできるはずです。何も事業を進める手を完全に止めさせなくてもよいのではないと考えています。
再議というものは、賛成多数で可決された時点で、先に議決された結果を慎重に判断しなければいけないので、通常、議決は変わるものだそうです。このことからも、議会が執行権のある行政の予算を否決させ身動きがとれなくなるような態度をとるという事態は、異例のことであると思います。
また、市長が専決処分で強行突破をすることもできたのに、それを選択しないで議会に図ろうとしたことは、議員の理解を求め両輪として共に進みたいという思いが、市長にあるということではないでしょうか。