決算特別委員会の討論
会派あしや しみんのこえのたかおか知子です。会派を代表して
「令和 2 年度芦屋市各会計決算」「芦屋市各事業会計決算の認定」並びに 「芦屋市事業会計 未処分 利益剰余金の処分を含む決算関連 6 議案について」 賛成の立場から討論致いたします。
令和 2 年度の決算では、予算通りにはいかない大きな変動が見られました。 新型コロナ感染症拡大の影響による、対策費等が関連する補正予算が発生し、歳出 が増えたことや、一方、イベント等が中止になるなど、当初予定していた経費が コロナの影響で必要なくなったという不用額もありました。全体を通して委員会の中での質疑は、この先の少子高齢化を不安視する声が多く、 財政破綻を避けるための「経費の減額」「基金の確保」といった財政収入が先細る であろうという懸念を前提に、議論が行われているという印象を受けました。 今のうちから節約を行うための「予算の削減」が行政改革の中で求められており、 「お金の無駄をなくそう」という話なのかと思います。
しかしながら、そこだけに凝り固まると、当市の事業計画は、「あまりに現実的で夢のないプラン」に成りかねないと会派ではそう感じていており、そのわけを申し上げます。この先の社会情勢が不安だからと、基金を貯め込み、今、目の前の人が必要だと言 っているものに対して予算を使わないというのが、本当の意味で「将来を見越した お金の使い方」になっているのでしょうか、それを疑問に感じております。
さて、当市の事業計画は、あまりにも時間がかかりすぎているものが多いです。 無電柱化計画はどうでしょう。電柱をなくすということを目的とされ、市内全域の 約220kmの道路を一体的に整備すると、宣言されていますが、市内の電柱がある 道路工事を、すべて完了するまでに、市民はいったい、いつまで待てばいいのでしょうか。さくら参道の完成経過からみても、市内全域の工事が完了するまでには、 ざっと、何百年もかかるという計算になりますが、そんなにも月日をかけて、 「掲げた目標の無電柱化をようやく成し遂げました。」となって一体誰が喜ぶので しょうか?
今この時代を生きて、そこで税金を支払っている市民の皆様は、 この先の芦屋市の未来像に期待して夢をみさせてもらっている状態だけで満足なのでしょうか。多くの市民が求めているのは、今感じている道路交通の不便さや、 安全性の不安を即急に取り除いてくれる、実現性のある整備にかかる経費を増やし てほしいということだと私は考えおります。目の前にいる不自由を感じて困っている人を救えず、早期改善の見込みがない計画が、市民の求めている指針にあたるとは、到底言えないと感じております。
将来を見越し無駄をなくすとは
さらに感じるのは、「将来を見越し無駄をなくす」とは、ただ、歳出を減らすとい うことだけなのでしょうか。今の芦屋市を一般家庭に置き換えますと私はこう思います。
子どもが将来の夢を語 る中で、野球選手やピアニストになりたいと言ったとします。 「今の生活費の中では、お金の心配はないけれど、将来の不安のためにお金を貯め ておかないといけない」、そう言って、子どもにグローブやバットを買いあたえ ず、習いごともさせないまま、夢を諦めさせるのでしょうか? きっと、親ならなんとか自分の趣味や娯楽を我慢してでも、子どもの将来のためにお金を使おうと思うのが心情なのではないでしょうか。このように、ある一定の大きな可能性を見 つけるために、今使うべき投資の考えも自治体には必要だと考えております。
その一つが JR 芦屋駅南地区再開発事業を早く進めることではないでしょうか。事業費の「縮減」「縮減」と、目先の歳出だけにとらわれて、その先の未知数に広が っている歳入のことは考えもしない、ただ足止めだけをして先に進ませない、そん な考えだからこそ、余計に財政が先細っていくのでないでしょうか。 そして、教育の学校整備にかけるお金についてもまったくもって、同じようなことを私は感じております。
過去には、阪神淡路大震災で校舎の損傷などの理由で、改装されずに廃校となった市立三条小学校がありました。また、南芦屋浜に小学校が立つはずだった計画が、小学校建設が約束されていたにもかかわらず、突然、議会によって、白紙撤回にさせられました。これらの建設費に対しても、当市は、児童数がこの先減るかもしれないとう予測しか見ずに、無駄な経費であると判断したのです。少子化という理由だけで、市立小学校の建設費は無駄な経費であると決めつけられたのです。
また、市立小中学校の学校整備や、通学路の安全確保に関しても工事費に格差があることがわかりました。もちろん、現場は、今あるおかれている環境の中で、先生 や保護者、地域のボランティアの方々の惜しみない努力とご協力のおかげで、十分に考慮された対策がなされています。しかし、どうしても費用をかけないと改善されないハード整備でしか補えない状況もあるのです。
「くらい、汚い、臭い、怖い、壊れている」頭文字で、5K とも言われる、学校の トイレは、改修工事の時期も新旧学校により様々です。義務教育において市立小学校に通う子どもたちには、通学区域が決められている以上、公平な立場で学校に通う権利があるはずです。
「やっぱり学校は児童数が多いほうが子どもにとっていいよね。」大人たちが決め た、そんな理屈の裏では、子どもたちの我慢の上でなりたっている教育環境の実態 があります。衛生面の悪いトイレ、雨に濡れる廊下、車の交通量が多い通学路、長時間かかる遠距離通学、荷物の負担、炎天下の熱中症、不審者からの回避、混み合う狭い歩道橋 で転ぶなど、いろんな苦痛を我慢している子どものおかげで、既存の市立小中学校 に児童が問題なく通えていると実証しているだけの話であります。
当市が子どもファーストというならば、学校整備にきちんと予算をつけ、この状況 を改善してこそ、豊かに成長するための教育環境を整えていると言えるのですが、 多くの子どもたちに我慢をさせているのに、子どもファーストという言葉だけを、 当市は気安く使っていたのではないでしょうか。
将来に向けて必要なところには躊躇なくお金を使い、本当の意味で自治体にとって 必要のない削るべき「無駄なコスト」は必ずあります。そこに目を向けた財政運営 となる予算の配分を、今後はしっかりと検討していただくことを期待し、そのこと を強く要望した上で、
以上、会派を代表しての、賛成討論とさせていただきます。
モコモコ通信ラジオ局で収録
👉stand. fm『モコモコ通信ラジオ10月16日の収録』
【報告の時間#10】芦屋市の今に気づいたこと、将来に向けての見解