事件の全容が明らかになる前に考えておきたいこと
学校に関わる問題であるため、このタイミングで取り上げることについては慎重に考えましたが、すでに大きく報道されていることもあり、困惑の保護者の方も多くいらっしゃることから、今後同様の事案が二度と起きないようにという思いを込めて、まずは先に情報を整理してお伝えしておこうと考えました。
令和8年2月18日の夕方17時頃〜「市内の学校給食で異物混入(錠剤)」というニュースが報じられました。私はこの一報を、家族や友人から共有された以下のニュースサイトを通じて知りました。
通常、このような事案については、報道機関と同様に市議会議員にもプレスリリースがメールで届くため、そちらの内容も確認しました。
給食に関する事案については、「保健安全・特別支援教育課」が担当課となります。同時に、当該小学校では、校長から保護者へミマモルメ(保護者向け連絡網)を通じて情報が共有されていました。
「たまたま大丈夫だった」という結果論に寄りすぎ
報告では「錠剤は原型を保っており、児童が口にする前に発見され、健康被害は出ていません。」とされています。
ふと思ったのですが、食べる前に小さな錠剤が児童の目視で確認できたとされていますが、児童が実際に口にしていないことについては、健康観察や聞き取りなど、どのような手順で判断されたのでしょうか。2名がどのような状況で食べる前に気づくことができたのか、その経緯についても確認が必要だと考えます。また、錠剤は原型を保っていたとのことですが、仮に口に入れた場合には違和感が生じ口から吐き出だすという可能性もあり、また、口にした場合に異物に気づけるかどうかは、個人差があるように思います。
健康被害がなかったことは重要ですが、それだけで安心とするのではなく、再発防止の観点からも、確認プロセスについて丁寧な説明が求められるのではないでしょうか。
少し話は逸れますが、過去にテイクアウトで購入したお好み焼きに押しピン(📌こんな形)が混入していた経験を思い出しました。子どもが食べ残したものを私が口にした際に違和感があり、幸いにもすぐに吐き出し気づくことができましたが、本当に怖い思いをしました。
お好み焼きのように具材が混ざっている食品では、食べる前に異物に気づくことは必ずしも容易ではありません。その時は偶然気づくことができましたが、当時幼稚園児だった子どもが口にしていた可能性を考えると、今でもゾッとします。
子どもたちは、給食を「安全なもの」と信じて、何の疑いもなく口にしています。そうした中で、小さな錠剤に食べる前に気づくというのは、決して当たり前のことではないということがわかります。
口にする前に見つかったことを「たまたま大丈夫だった」で終わらせるのではなく、万一口にしていた場合も想定した上で、安全確認の手順や検証を行う必要があるのではないでしょうか。
最優先で確認すべきは「錠剤の正体」なのでは
芦屋市では、
・学校給食衛生管理マニュアル
・ 学校給食異物混入対応マニュアル
という複数の安全マニュアルがあり、給食事故対応の基本になっています。その名称は、芦屋市公式サイトに掲載されている以下の報告書内に出てきます。
令和6年度(令和5年度対象) 教育委員会の事務の点検及び評価報告書
ただし、これらのマニュアルの具体的な内容については職員向け資料とされており、議員にも提供されていないため、内容を確認するには正式な資料請求の手続きが必要となります。
このマニュアルに基づく対応フローについて職員に確認したところ、今回のような異物混入事案では、まず速やかに警察へ連絡し、教育委員会としては独自の調査権限を持たないため、詳細な調査は警察の対応に委ねることになるとの説明でした。
例えば、発見された錠剤が具体的に何であったのか、また証拠物の取り扱いについても、基本的には警察の判断に従うことになるとのことです。
私なら、真っ先にその錠剤が何であったのかが一番気になります。実際に給食を共にした児童や保護者にとっては、その錠剤が何であったのかが明確になること自体が、心理的な安心につながるものだと感じます。
健康被害が確認されなかったことは重要ですが、それだけで安心できるとは限りません。仮に毒性の強い成分が含まれていた場合、結果として被害がなかったとしても、不安が残る可能性があります。
だからこそ、可能な範囲で情報を明確にし、丁寧な説明が求められるのが、この「錠剤の正体」なのではないでしょうか。
本件における刑事責任の可能性について
今回の事案は警察が対応していることからも分かるように、単なる学校内のトラブルではなく、場合によっては刑法上の責任が問われる可能性のある行為です。
例えば、実際に健康被害が発生した場合には傷害罪(刑法204条)が成立する可能性があり、仮に被害が生じていなくても、危険性の高い薬物であれば傷害未遂に該当する重大事件になる可能性が高いのです。また、使用された薬が毒物・劇物に該当する場合には、毒物及び劇物取締法の問題も生じ得ます。
さらに、給食の提供停止など学校運営に影響が出た場合には、威力業務妨害罪(刑法234条)が成立するケースも考えられます。給食が中止になるなど、学校業務が止まった場合、被害がなくても成立する可能性があるのです。つまり、「どのような薬が混入されたのか」は、事案の重大性を判断する上で欠かせない要素であり、今回の事案の本質的なポイントの一つではないでしょうか。
では、今回のケースに当てはめてみると、どのようなことが想定されるでしょうか。
(1)傷害罪は成立しにくい
👉️症状が出れば成立しやすい。しかし、体調不良などがなければ、傷害罪は通常成立しません。
※ただし「強い毒性が明らか」なら未遂扱いになる可能性はあります。
(2)一番可能性が高いのは「威力業務妨害」
👉️以下の状況次第によってや、実はこれが一番成立しやすい。
- 給食停止
- 調査
- 保護者対応
- 学校運営の混乱
など、学校業務に影響が生じた場合には威力業務妨害に該当する可能性があります。ただし、実際に刑事事件として扱われるかどうかは、行為の内容や悪質性の評価に加え、被害側(今回で言えば学校)の通報や被害申告を契機として、警察の判断により進められることになります。
ここまで述べてきた刑法の適用については、加害者が刑事責任年齢に達している場合を前提としています。あまり考えたくはありませんが、仮に異物を意図的に混入したのが児童であった場合には、対応や扱いは異なります。
■ 14歳未満
👉 刑事責任なし(刑法上は処罰されない)
ただし、
- 児童相談所の介入
- 学校指導
- 保護者への対応
これらの対応については、当然ながら適切かつ確実に実施されなけばいけません。
■ 14歳以上
👉 少年事件として扱われる可能性
ただし通常は、逮捕や刑務所といった処罰ではなく、家庭裁判所での手続きや保護観察など、保護的な措置が中心となります。
給食への異物混入がなぜ起きたのか、その背景や動機
なぜこのような行為が実行されたのか、その動機を明らかにし、背景を理解するための原因解明は、最も重要な点の一つだと考えます。これは今後の学校の管理体制の見直しや、教師と児童との関係性の在り方にも関わる重要な課題が浮き彫りになったとも言えるのではないでしょうか。
他者に危害を向ける行為が許されないことの重要性を、児童にしっかりと伝えていく必要があります。子どもたちの成長過程において、学校生活は、知識の習得にとどまらず、集団生活の中で社会性を育み、人格の基盤を形成しながら、他者との関わりを通して社会のルールや責任を学ぶ大切な場です。
今回の出来事は、関係した子どもたちの心にも大きな影響を残している可能性があります。混入された側の児童にとっては、「なぜ自分がそのような行為を受けたのか」というショックも大きいものでしょう。一方で、仮にどのような理由があったとしても、姑息な方法で他者に危害を加える行為を選んではならないという価値観を、丁寧に理解させる必要があります。
また、今回は卒業を目前に控えた6年生のクラスで起きたとのことで、それぞれが新たな旅立ちに向けて大切な残りの小学校生活の時間を過ごしている時期でもあります。そのような中で起きた出来事であるからこそ、児童の心情や教師の気持ちを思うと非常に残念でなりません。
しかし、とても大事なことは、この事案を曖昧にせず、背景を検証し重く受け止めて、その重要さが伝わることで次に活かされます。それは関係した子どもたちだけでなく、これから学校で学ぶすべての子どもたちのためにも必要なことだと感じます。食の安心・安全な意識がもっとも重要です。
今後、事態の全容が明らかになり、保護者への説明も行われていくと思いますが、どのような形で伝えられていくのか、その対応についても注視していきたいと考えています。
芦屋の給食は、全国に誇れる自慢の給食なんです。
美味しい、嬉しい、楽しい、調理人のやさしさの詰まった、子どもたちにとって「楽しい思い出」であり続ける、そんな芦屋の給食が、残念な、そして怖い記憶として残してしまうことは、決してあってはならないことです。















