再開発事業の補助金の行方
事業を継続させるための予算の賛否は、国・県・JR・市民との信頼関係、阪神間の横つながりの見られ方において、今後芦屋市がどう判断されていくかを大きく左右する重要な決定になります。
市は確実に事業の凍結に追いこまれている状態にあることは確かです。予算を否決するということは、再開発の補助金が申請できない状態になるということでもあります。
国庫の補助金とは、県の事業認可を受けている現在の第二種市街地再開発事業手法で事業を進める場合に申請できるものです。土地の等価交換としてビル建設を伴う「第二種市街地再開発事業」が施行の条例の承認を受けているのです。
代替案になってしまうと、新たな補助金獲得はゼロからの交渉となります。総事業費の増額を否決の理由にするならば、入ってくる見込みのあった補助金減額はどうなるのでしょうか?
JR西日本との工事の締結は、再開発事業の補助金を使用する予定でした。補助金がないということになれば、エスカレターの工事、バスロータリーの道路整備などの費用は、市の負担額が増えてしまいます。コスト削減の見直しをしている間に、返って経費を膨らませることになる事態をつくることになっているのかもしれません。
事業が完了すれば、にぎわいの創出であるエリアプランニングによる地価の高騰、子育て支援を含む駅前の発展、芦屋市の新たな魅力も引き出すことにもなるのです。
予算の否決によって、再開発事業に係る国庫の補助金が申請できない状態にあります。4月の臨時会での暫定補正予算案の 約5億円 が可決になっていれば、補助金申請もできていた訳です。
今まさに芦屋市が置かれている状況は、芦屋の南玄関口をこのままにするのか?変えるのか?の二択の道を選ぶ決断であり、国・県などの関係者に対してもはっきりとした意思表示を示す一つの分岐点になっていると思います。
補助率による国費の見込み
各市が申請するも補助率というものはだいたい7割ついて良しとなりますが、今年度は市の頑張りで滅多につかない9割以上だったそうです。例年に比べ3億ほど得していた計算になります。
実際に報告を受けている明確な金額ですが、当初予算案国費は、7億7千771万円を見込んでいました。これが内示率7割の計算です。
令和2年度6月5日の調査特別委員会の説明資料によりますと、実際の予定支給額は、国庫補助金内示額計上で今年度は11億8千317万6千円もらえることになっていたようです。これが内示率9割以上の計算です。
ですが、申請すればもらえずはずの11億4千272万1千円が未交付申請状態になっていたのです。すでに4月〜7月のスケージュールでは、事業を進めるための動き(管理者分計画の決定、事業用地の取得、建物等の移転に対する補償、特定建築者の選定等)が一切できておらず、止まっているので行政側は補助金の申請をすることができなかったのです。
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スケジュールを全くこなせておらず補助金の申請をしていない市
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国から預かっている補助金をどこにも渡せない状態の県
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申請が遅れるほど、補助金の使用期間がなくなり返還する補助金額も増える
予算は四半期ごとで使用する計画となっているため、期間が過ぎて失効している補助金もすでにあるということです。議会がストップをかけている間に年間を通じてもらえるはずのスケージュールが過ぎ、その分の補助金が減っている状態にあります。
国庫補助金の受け入れも始まったことから、次年度の補助金の内示率は、事業の進み具合の出来高によって、その後の実績の信頼で決まるようです。予算の否決を受けて補助金の申請ができなかった市としては、国との約束を破っていることでもあり、来年度はもらえる補助金が減り7割を想定しなければいけなくなりました。