■ 結局、この問題はどうなったのか
前回の記事では、ハラスメント問題に関する申入書を提出してから4ヶ月が経過しても、当該元議員との事実確認が進まず、議会としての結論が先送りされている状況についてお伝えしました。さらに、議会として市民へ説明する機会となるはずだった『市議会だより』への掲載も見送られ、結果として市民への報告が行われないまま時間が過ぎてしまいました。
では、その後この問題はどうなったのでしょうか。
結論として、議会として十分な説明が行われたとは言えない状況のまま終わっていきました。その後も当該元議員との十分な事実確認が進んだとは言えず、議会としてこの問題を市民に説明する形には至りませんでした。
本来であれば、議会として経過を整理し、決議がどのように履行されたのかを確認し、事実関係を丁寧に整理したうえで市民に示していく必要があったのではないかと思います。しかし実際には、そのような説明が十分に行われないまま、問題は曖昧な形で終わっていきました。
その後、議会では別の展開が起きます。私自身に対して問責決議が提出されるという事態が起きたのです。ハラスメントの問題提起を行った側が、逆に議会の中で責任を問われるという状況になり、議会内の議論は本来の問題から離れていきました。
結果として、ハラスメント問題の本質的な検証や、議会としてどのように再発防止を図るのかといった議論が、十分に行われたとは言えない状況になってしまったのではないかと感じています。
■ 背景にあったもう一つの問題
この出来事を振り返ると、どうしても考えずにはいられないことがあります。当時、芦屋市ではJR芦屋駅南地区再開発事業という大きなプロジェクトが進められていました。
この事業は市にとって長年の重要課題であり、駅周辺のまちづくりの将来にも大きく関わるものです。そして、その事業を実務の中心となって進めていたのが、今回問題の渦中に置かれた市幹部でした。
一方で、議会の中にはこの再開発事業に強く反対する議員もいました。ハラスメント問題を持ち出した元議員の大塚のぶお氏もその一人でした。
その結果、JR芦屋駅南地区の予算への反対、市幹部へのハラスメント問題の追及、市長や副市長への責任追及が、同じ時期に重なって進められていくことになります。当局の発言力を弱めたかったという政治的意図があったのではないかという疑問も残ります。
ここに、ひとつの仮説があります。利用されてしまったのは職員ではなかったのか、ということです。
ハラスメントの問題は、本来であれば被害者を守るために扱われる必要があるものです。しかし今回のケースでは、被害を訴えたとされる職員はすでに退職しており、新たな訴えが出されていたわけではありませんでした。
それにもかかわらず、伝聞による話などをもとに、被害者が一人とされていたものが複数名に広がる形となり、多数派の議員が市幹部を激しく追及する状況が生まれました。
後に地権者の方々から伺った話では、加害者とされた市幹部について「とても丁寧に説明をしてくれていた」「誠実に交渉してくれていた」という声もありました。市民のために再開発事業を進めようと努力していた職員が、政治的な対立の中で大きく傷つくことになってしまったのではないか。私はそのように感じています。
■ 市長・副市長への責任追及
この問題はやがて、市長や副市長への責任追及へと広がりました。
市としては、ハラスメントの訴えを隠蔽していたわけではなく、最終的には市長と副市長が自ら給与減額という形で責任を示しています。しかしそれでも議会では、「猛省がない」といった指摘がなされ、市長への問責決議が提出されました。
すでに反省と対応を示している執行部に対して、さらに政治的に追及することが本当に市民の利益につながるのか。本当に問責決議が必要な状況だったのか、私は強い疑問を感じました。
一方で、問題の発端となった大塚のぶお議員に対する問責決議は、最終的に否決されました。多数の議員が反対したためです。おそらく、もしこの問題を正面から認めれば、その議員とともに執行部を追及していた議員たち自身の判断も問われることになります。そのため問責決議は否決されたのではないか。そう感じざるを得ません。
■ この出来事は何を残したのか
これまでこのシリーズでは、芦屋市議会で起きたハラスメント問題について、その経過を整理してきました。申入書の提出から始まり、議会内での議論、問責決議、そしてその後の対応まで、一つひとつの出来事を記録してきました。
しかし、この問題を振り返ると、私の中にはいくつかの大きな問いが残っています。それは、この出来事から芦屋市議会は何を学んだのか、ということです。
今回の問題では、当事者の一人がすでに議員を辞職しており、十分な事実確認を行うことが難しい状況になっていました。しかし、それでも議会として何が起きていたのかを整理し、決議がどのように履行されたのかを確認し、そこからどのような教訓を得たのかを市民に説明する努力は必要だったのではないかと思います。議会は市民に対して説明責任を持つ機関だからです。
ハラスメントという問題はとても難しいテーマです。本来であれば、被害者を守りながら事実関係を丁寧に確認し、再発防止につなげていく必要があります。
しかしこの問題が政治的な対立の中で扱われてしまうと、本来守られてほしい人たちが傷ついてしまう可能性もあります。今回の出来事の中では、市役所の職員や関係者にとっても大きな負担となったのではないかと感じています。
議会は行政を監視する役割を持っています。しかし同時に、行政とともに市政を前に進めていく責任もあります。そのバランスをどのように取るのかはとても難しい問題です。
今回の出来事を通して、私は改めて議会の役割とは何かということを考えさせられました。議員が権力という立場を利用し、利害関係から別の混乱を招いてしまうことがあるのだとすれば、それは議会の信頼そのものを揺るがすことになります。
市民の立場から見れば、何が起きていたのか、誰がどのような判断をしたのか、その結果どうなったのかが分からなければ、議会に対する信頼は生まれません。議会が自らの出来事について説明することは、とても大切なことだと思います。
■ 議会の記録とハラスメント防止指針
このシリーズでは、私が議会の中で経験した出来事をできるだけ整理して記録してきました。議会の出来事は、時間が経つと忘れられてしまうことも少なくありません。しかし、記録を残しておくことで、後から振り返ることができます。それが議会の透明性を高めることにもつながるのではないかと考えています。
なお、この問題の後、議会では『芦屋市議会ハラスメント防止等の指針』が作られることになりました。ハラスメントの防止という観点から、議会として一定のルールを整えること自体は大切な取り組みだと思います。
しかし、その指針が作られることになった経緯については、議会の中で十分に整理され、市民に説明されたとは言えない部分も残っています。本来、この問題がどのような経過で起き、何が教訓となったのかということまで含めて説明されなければ、なぜ指針が必要だったのかという背景は見えにくいままです。
そのため、議会が新たに指針を作ったという結果だけが示されても、それがどのような問題意識から生まれたのか、市民には分かりにくいのではないかという疑問も残ります。
■ 市民に伝え続けるために
最後に、議会は市民の信頼の上に成り立つ場所です。だからこそ、事実を確認し、議論を尽くし、その経過を市民に説明するという基本的な姿勢を大切にしていかなければならないと思います。
今回の出来事は、私自身にとっても多くのことを考えさせられる出来事でした。これからも、市民の皆さんに議会の様子をできるだけ分かりやすく伝えていきます。










