「通学」について思うこと【2】
徒歩通学が基礎体力の向上という答弁
12月の一般質問で、「南芦屋浜からの通学について」を再度質問しました。これまでの議事録をたどっていた時に、小学校建設が中止になってから4年ほど経っていた平成30年12月の一般質問で、他の議員が同じテーマでこんな質問をされていました。当時、小学校建設を中止にするよう市長に求めた議員から「代わりにスクールバスの運行について検討すべき」という話が持ちかけられていたのです。一般質問での議事録を一部抜粋します。
(1) 最南部の町から通う児童に対する懸念点は?
「緑が非常に少ない、木陰が少ない。」「夏は特に猛暑でして、そういった中で、子どもたちがもうフラフラになって帰ってくる、中には脱水症状というか、熱中症寸前の状態で帰ってくるという保護者の声をお伺いしたんですけれども、そういった声は教育委員会のほうに余り届いていませんか?」
→[答弁]そういった声は、こちらまで直接には届いていない。
(2)小学校を建設するよりスクルーバスの巡回は?
「通学上の課題に対処するために、スクールバスの導入を芦屋市として、また教育委員会としてぜひ行っていただけないか?」「もともと南芦屋浜地区に小学校を建設するという案があり、それが中止になりました。そのような背景を考えたときに、小学校を建設するよりはスクールバスの巡回というのは、はるかに安いコストでできると思うがそういう考えをあわせる一つの材料にはならないか?」
→[答弁]「学校建設のもろもろの事情によって断念したことと、スクールバスの導入するということは、我々は別であると考えている。」
(3)阪急バスにお願いしてバスの路線を開設しては?
「スクールバスが無理なら、例えば阪急バスにお願いして、通学時間に合わせて1便、2便なり、そういった路線を開設するということは考えられませんか?」
→[答弁]学校としては阪急バスを使ったりする通学ということを、積極的に推奨している立場ではない。
このように教育委員会は、徒歩通学を原則としており、子どもの基礎体力の向上とか、集団で通学することでの教育的効果などメリットがあることを理由に、スクールバスの運行やバスの通学助成については、検討しないという見解を示していました。
課題として認めようとしない教育方針
他の議員が一般質問で「南芦屋浜の通学について」を質問してから更に4年が経ち、建設が中止になってから約8年が過ぎました。新人議員の本音 – NO.64でも触れていますが、通学に対する保護者の不満は未だに解消されていません。むしろ小学校建設やスクールバスを求める声は以前よりも高まっているように個人的には感じています。以下のように保護者の懸念点とは他所に、行政側の判断にはかなり違いがあるようです。
(1)徒歩通学が子どもの基礎体力の向上になるの?
[市の考え]子どもの基礎体力の向上になる。徒歩通学を原則としている。
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[保護者]学力向上のため、通学による長時間の拘束をせず、子どもたちの体力消耗による負担の軽減が必要。
[たかおか知子の見解]
自宅が学校の目と鼻の先にある児童がいたり歩く距離は様々です。全生徒の体力向上にはなっておらず、個人差が生まれている話ではないでしょうか。徒歩通学で基礎体力を上げるというのは、とってつけたような単なる口実に聞こえます。こんなエピソードもあったそうです。遠足に行ったお子さんから思わぬ感想を聞いた方もいました。
徒歩で学校についてから駅までまた歩き、遠足でもひたすら歩いて下校も歩いて、家に着く頃いには「歩き疲れて足が痛くて楽しくなかった。」と、楽しいはずの遠足がそんな残念な言葉をもらしていたそうです。当局が言っていることは、子どもの体力が消耗させ安易に基礎体力の向上と言っているようにもとれました。
(2)集団登校で得られる教育的効果があるの?
[市の考え]集団で通学することで、高学年が低学年に配慮するといった教育的効果の狙いがあり、集団での通学を学校のほうでは原則としている。
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[保護者]実際は逆のことが起こっている。集団登校があることによって、学年によって歩く速度も違い、列を乱した行動による喧嘩やトラブルも多発しているため、高学年の子どもにのしかかってる責任も大きく負担になっている。結果的に子どもたちを傷つけ保護者を不安にさせている。
[たかおか知子の見解]
結局、理想を語っていても現場では教育的効果どころか、事態は子どものいざこざだけでなく、大人が入りざるを得ない状況になると、その関係もギスギスさせてしまう引き金にもなっていることがあるようです。保護者は課題として受け止めていることを、逆にメリットだと言い続けているようでは、過去から何も改善されていないのと同じことです。
私たち大人が小学生の頃の感覚と同じように今の子ども達の教育環境を見ていてはいけないのではないでしょうか。確かに今の子どもは、外で遊ぶことも運動量も昔の子どもに比べらた減っているのは事実です。ただ、通学に関する子ども達が、目の当たりにしている環境にも違いが生じていることも理解して、対応を変えていかなければいけません。
気候変動による熱中症や、車の交通量が多い道や、木陰の少ないアスファルトの路面など、徒歩通学が楽しく学校に通う子ども達の環境にはなっていないということも考えてあげないといけません。ランドセルの重さ(4kg〜5kg)になることも。更に両手が塞がる荷物に、雨の日は傘もささなければいけませんね。学校に着く頃には靴の中までずぶ濡れ状態。そんな中、子どもの足で2キロ以上の通学を毎日続けているのです。
徒歩が原則という教育方針の理念を崩してはいけないという保身でもあるのでしょうか。しかし、結局こどもに負担をかけていることが、登下校時の環境を悪化させていると保護者が思っているようでは意味がないと感じています。
できないことを要求されるのを恐れて課題から目を背けるのではなく、まず課題として認めてほしいです。現状を納得したいわけではないので正当化する理由を述べているように私には聞こえてしまうからです。 決して、過去からの決定を否定したい訳ではなく、見直しを行いながら現状を良くするために一緒に考えていきたいだけなのです。
結論的に、年月がたっても保護者が課題に思っていることは一向に変わっておらず、現状の問題は根強く残ったままだと感じました。その状況をしっかり認めて、まずは素直に思いを受けとめ歩み寄ってほしいと今後も要望してまいります。
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