自分の言動を証明するための手段
「魑魅魍魎」と書いて「ちみもうりょう」と読む言葉があります。こんな事を言うと怒られるかもしれませんが、正直な感想は議会がまさにそんな所だと今ならそう答えるかもしれません。嘘みたいな話、私が議員になりたての時、密かにこんな事を私に囁かれる市民の方がいました。「議員と個別で大事な話をする時は必ず録音しておいた方がいいよ。」
最初はどうしてそこまでしないといけないのかわからなかったので、冗談だと思って聞き流していました。なぜなら、市民から選ばれるような人なのだから、当然信頼関係のもとで話せる相手に録音なんて必要ないからです。しかし、残念ながら今ならその言葉の意味がよくわかります。議会の中で次のようなことが実際にあったからです。
・言う事ととやる事が相手によって変わる
・約束した事を反故にする
・もっともらしく平気で嘘が言える
・個人感情で判断して不公平に動く
・結託して物事を一部の人だけで決める
・自分都合の言い訳でごまかす
非公開での議員同士の協議では、当たり前のようにこう言う行為があるとでも言いましょうか。たしかに前期をみると、不自然な問責決議がいくつか続いていました。普通は議長から「気をつけましょうね。」という注意で終わっているような事例でも、公の場に問題として取り上げられ罰を受けていたのは、少数派の議員さんでした。つまり、数の世界では多数派によって、何とでも誰でも都合よく結論付けられるとしたら、集団で誰かを陥れる事だって出来るのかもしれません。
よく考えて見たら、言った言わないの世界では、それを聞いていない人に伝える時は何とでも言いかえる事ができます。要するに、あの時市民の方が言われた「録音していた方がいいよ。」という忠告は、自分の言動を証明するために必要だと言うことだったのかもしれません。
私は相手によって事実を変えるような話ぶりができるほど、そんな器用に立ち回れる方ではありません。もちろん、プライバシーを守る時や、必要以上に言わなくても良いと判断した場合は、言わずにごまかす時はありますが、言わない事はあっても信頼関係のある相手に、嘘をつく必要ってない訳です。しかし、魑魅魍魎の中と表現した議会では、日常茶飯事に腹の探り合いや騙し合いをする議員がいるということは否定できません。
卑怯なことをする人には倍返しがある
信頼できない相手と話さなければいけない場合、嘘をつかれるというような時に、自分の言葉をどうやって信じてもらえばいいの?となります。そのひとつの手段として、市民の方は私に「録音した方がいい」と言われていたのではないでしょうか。
私は、議案の説明等を聞き返して復習するためにiPadのボイスメモで録音することがあっても、それ以外の場面で録音をしたこたことはありませんでした。陥れられることがないよう自分の身を守る手段として、録音機能を使わなければいけないとは思いもしなかったからです。今となっては自分を守るための手段として会話を残しておいた方が良いと思っています。
ところで、芦屋市も4月は統一地方選挙ですね。選挙の年は魑魅魍魎がいつもより増して躍起になり、いろいろ企みが活発になってくると選挙に詳しい人たちの中ではそう囁かれているようですが、それも私にはよくわかりません。「かしこく恐る」これ、たしか災害に備える時によく使われる言葉ですが、議員に置き換えてもこれがあてはまるということでしょうか。
たまに、「議会内でのことをあからさまにSNSで発信していて、しっぺ返しが怖くありませんか?」とご心配してくださる方がいます。それにしても不思議です。後ろめたい事もなく、事実を伝えることにどうしてそんなに身構えなくてはいけないのでしょうか。議会はやはり悪意にみちたそんな所だという事なのでしょうか。
実際に議会で起きた出来事を伝え、自分の意見を主張することでなぜ他の議員から責められなければいけないのでしょうか。もちろん守秘義務があるものは言いません。しかし、後できちんと公にしても説明できるものであれば、何も公表して怯える事はありません。もちろん私も、自分の身を守る術がないままに、無防備な状態で何でもかんでもお知らせしたりしているわけではありません。
それにしても、なんで私はこんな話ばかりしているのでしょう。ルールを逸脱して不正をしていなければ何も恐る事はないのですが、ただ、新人議員の私から言わせてもらえば、「気に食わないから、懲らしめてやれー」と言う扱いは数々ありました。周りの議員から見ても私に対して意図的に扱いが違うというのです。
自分自身ではそれほど気にしていませんでしたが、いくらなんでも意図的に悪者に仕立て上げられる事は、避けなければいけませんので、馬鹿正直に立ち回っているだけではいけないのかもしれません。でも、心のどこかでいつも冷静に見ている自分がいます。なぜなら、「卑怯な事をすれば、後で自分の身に必ず倍返しが起こるとは思わないのかな。」と感じているからです。
「備えあれば憂いなし」のように、時に相手によっては、議員間で対話をする時の身構える手段が必要な場合もあったというのが私の個人的な感想です。