住んでよかったと思われる芦屋に
今期の議員では最後となる一般質問で、いろいろあった3年半の芦屋市政を振り返りながら質問しました。先人の方々が築いてこられた、すでに「住みたい街」として選ばれるブランド力がある芦屋市ですが、次のステップは、ファン(移住者)を増やす事ではないでしょうか。ファンという表現は流山市役所の視察で学んだひとつです。
憧れを持たれている方に住んでもらい、もっと「住み続けたい」と思ってもらえたのなら、「住んでよかった」という声をいっぱい聞きたいはずです。定住者を増やす事を目指すためには「住みやすい街」を芦屋も意識して目指していけば良いのではないかと考えています。目的が明確になれば、補える制度も増え役所は大きく前進できると感じています。そうなれば、芦屋市は選ばれる都市最強になりますね。というようなことを期待して質問してみました。
私が行政に気づいて欲しかった事は「これでいい」と思っていても、制度に当てはめてみると、中には、そこから漏れてしまい困っている人がいて、その「拾えていない声がある!」と言う事を知ってほしかったのです。市長が言われている「誰一人取りこぼさない。」という言葉はそう言う意味でもあると思ったからです。
最近私がよくお聞きするお困りの声の中で、保育料や産後ケアにかんすることがありました。例えば、保育料で3人目は無料という嬉しい制度があっても、小学生が含まれない(未就学児のみ)などという条件があったりします。家庭の事情は様々なのに同じ3人目であることは代わりありませんが、所得制限など限定される条件がつけられていることに気づかされます。
そこで子育て政策について市の考え方を中心に尋ねました。私の考えはこうです。子どもが増えると家計も生活も変わります。子育てに貧困差は関係なく困っている人がいる限り、そこに手を差しのべるのが子育て応援の姿だと感じています。『国の基準である所得制限を外して保育料や医療費等を自治体が独自支援で子育て応援制度を補う事は決して単なる「ばらまき」ではない。』とうことです。
明石市は、若者が結婚・出産できるよう支援するとともに、子育てが可能な環境づくりを進んで実施したことで、多子型の出産による人口が増えたと言われています。しかし、芦屋市は出生率が低いそうです。夫婦が理想とする子どもの数が持てるようになるための子育て支援がもっと充実すれば、出生率がのびるのではないかと考えられます。
ところが、市から返ってきた答弁は、「芦屋は一定水準、所得が高い人が多いから漏れている人が多いことになる。」という事を一貫され、あまり私の言う事を優先的に重要であるとは感じてもらえていないという印象を受けました。
予算の使い方は配分内で優先順位がある
次に予算編成に関することについて質問を変えました。決算では令和3年度の一般会計の実質収支が35億1200万円と黒字を示されました。これは、言わば見え方によっては不用額が出ているということになりますが、予測がつかなかった税金の増加等もあったにしても、決算では約10億以上の不要額が計上されている年度が続いていました。
予算計上していたけれども使うことがなかったという事であれば、この使われなかった予算を他に回していれば、困っている人を救うための支援に使えたとうことはないのでしょうか。市民にとって、黒字になるということは、先々の基金の不安を払拭することになるのかもしれませんが、そこばかり意識していると、今、必要な支援が行き渡っていないことも生じてしまうのではないかと思ったりもするのです。
そこで、道路の白線の事例を基に尋ねました。表示が消えている道路を塗り直してもらうよう依頼した時のことです。「他で優先度が高いものが発生するかもしれないから今は一部しかできない。」という回答でした。確保しなければいけない予算の範囲内ということなのでしょうか。
しかし、安全を後回しにする回答を職員にさせているなら、市⺠の信頼をなくす結果にもなりかねません。市の結論は「限られた予算の中で優先度を十分配慮しながら各部署が考えて対応しているため問題ない。」との答弁でした。
「私が伝えたかった真意はこの一般質問で行政に伝わったのだろうか。」何となくそんな中途半端な気持ちを残したまま一般質問の終了時間を迎えました。
リレー方式でつながっていく質疑
同日に質問された大原議員が「人口流入策の更なる向上について」を通告されていたのですが、その中で、偶然にも出生率の課題をあげられ、多子出産を応援する事について述べられていました。私が自分の質疑で抱いていた、モヤモヤ感をまるですっきりさせてくれるかのような、的確な質疑に共感しました。結果、私では得られなかった当局側からの前向きな答弁を聞くことができました。
もうひとつ、私のモヤモヤを解消してくれた一般質問が、山口議員が通告されていた「予算編成枠配分の弊害と諸課題について」です。山口議員は私が予算編成の枠配分について、課題を感じて質問していたことを気づいてくださっていました。私の質疑を後押ししてくれたような質問に対し、そこから得られた答弁を聞くことができ、私まで達成感を味わうことができました。
お二人とも、もちろん事前に私と打ち合わせをしたわけではありませんし、お互いの一般質問の内容も事前に知りませんでした。しかし、リレーのバトンの受け渡しのように、質問で繋がっていたことが嬉しくなりました。一般質問ではこんな風にひとつの共通認識を持った課題に向けて、私一人だけではなく他の議員の意見も重なって、さらに良い話の展開に進んでいくということがあるのですね。
今回の一般質問で私が最も重要視していたのは、職員がもっと市民と対話しやすくなるための体制です。これまでの歴代市⻑が掲げてきた芦屋の理念があると思います。ただ、それを継続させ守るために「芦屋ブランド」はこうあるべきという決めつけが生まれていることで、その理念が返って邪魔をしています。考えに柔軟さをなくさせているのではないでしょうか。
例えば、体制の変えずらさが、市⺠と対話のしずらさをつくっているような気もします。改革は何も過去の否定ではなく、これまでの信条を覆すものでもなく、今よりもっと良くするものだと思います。
もちろん、理念を貫くことは「芦屋らしさ」でもありますが、でも、「芦屋はこうあるべき」に執着しすぎていると、職員の本来発揮できるアイディアを埋もれさせ、市⺠のポテンシャル(潜在能力)をなくさせていくことにつながっている気がするのです。
職員の働く姿勢の意識を変えられるのは市⻑しかいません。 困っている人がいれば助けたくなるのは当然の気持ちです。でも、市の方針が違えば、その気持を押し殺して職員は返答せざるを得なくなります。だから、市⺠との板挟みを少しでも解消し、職員と市⺠の距離感が縮まることで、関係性が良くなるように交渉しやすい仕組みを中から変えていってほしいという要望を伝えました。そして、今期最後の一般質問を終えました。