こじれすぎたJR芦屋駅の再開発
芦屋市議会では、JR芦屋駅南地区再開発事業の予算に関連して、2度の「再議」が行われ、自治体において異例の事態が起こっています。令和2年3月26日に行われた一度目の再議で、議員が提出した修正案の修正可決は否決になりましたが、その後の再審議は変わることなく同じ結果でした。予算の執行は承認されませんでした。
しかし、「修正案」や「原案」などの賛成とか反対とか、実に議決が複雑で、いったいどの議員がこの事業を進めようとしていて、逆にそれを止めようとしているのか、ということは市民にはわかりづらく、混乱されている方も多いのではないでしょうか。
ようするに「これを買うことが決まっていたけど、お金は渡せない。」というのが議会の下した決定でした。そして今もなお、予算の執行が行われず、行政が再開発事業を一向に進めることができない状態が今期は続いていたのです。
再開発事業では国や県からも補助金を多くもらう予定でしたが、まだ申請することができていません。補助金をもらえる話があるのに、議会が国庫補助金の予算の承認をしなかったからです。お金を渡す準備が出来ているという県に対して、芦屋市は「いらない」と言わなければいけない状態に追い込まれていたことになります。。
一度目の修正案が提出されたのは、令和2年3月16日の予算特別委員会でした。原案に反対した目的は「事業手法の変更を要求したものではなく、事業費の増加を抑えるための削減を求める。」と、3名の議員提出者は説明していました。
二度目に修正案が提出されたのは、令和2年12月11日の建設常任委員会でした。原案に反対した目的は、「更なる削減は元より、事業手法の変更を要求し、第二種市街地再開発事業を白紙撤回にすることを求める。」と、2名の議員提出者は説明していました。
この修正案に12名の議員が賛成し、どちらの修正案も賛成したのは同じ議員でした。初めの修正案では「事業費が高いから予算を反対するのであって、再開発事業に反対するものではない。」と事業を止めることになりました。後に、この結果を受けて行政は計画を再算定し縮減案を提示しました。職員は半年間事業を進めるのを止め、計画を分析して事業費を34億5千万円減額することにしたのです。
ところがまたもや、この改定された縮減案が提示されると、やはり原案では納得いかないということで、今度は二度目の修正案「他の事業手法に変更できるのではないか。」ということを提示して止めに入ってきました。
市を否定する反対案を出された結果
会派の控え室に戻る途中、傍聴席にいた議員から「こんな修正案が出ることは知らなかった。中身を見てみないことにはなんとも言えない。」と、こんな会話が聞こえてきました。でも、結局そんなことを言っていた議員たちは修正案に賛成していました。まるで予め渡されているお芝居のセリフのように、展開がわかっていてわざとらしく言っているような口ぶりでした。
議事進行上、委員長は事前に報告を受けていたとは思いますが、数分でこの内容を「いいね」と判断できたということも私には違和感しかありません。市民に損失を与えることがわかる欠落だらけの修正案だと私は判断していたからです。
それに、芦屋市の将来像に係る大型事業計画に対しての修正動議なのですから、事前に知らされてもいない内容に対して、「納得しました。」と数分見ただけでろくに議論もせずに、あっさり納得できるほど、議員の判断力は長けているのでしょうか。
しばしば、こういうことをする議会の裏側を見てきて感じるのですが、議会はいつまでこんな茶番劇を続けるつもりなのかというのが正直な印象です。こんな本音を言わずにはいられませんでした。
本来、議案の賛否にどちらが正解とかではないのかもしれません。でも、今回のことは明らかに判断が誤っていると確信しています。この議決が、ただの同調圧力だけで固まった多数派の議決でないと思いたいです。21人中、9名の少数派であっても、私は自分の下した今回の判断の方が芦屋市のためになると自信を持って言えるので、このことをはっきりと書かせてもらいました。
市が単独で動いてきた再開発事業ではなかったのです。あらゆる市民や関係機関と交渉を重ね一歩一歩積み重ねきた事業だったのです。そこを12名の反対議員が理解できていないというのなら、議会の議決に対して民意を直接問わなければいけない日がくるのではないかと私は思っています。