令和4年第2回定例会 ー 6月16日 本会議
原稿
改修・撤去費用について、お困りの声をお寄せいただいている方の殆どが健全にお商売をされている方たちばかりです。このコロナ禍で事業が厳しくなっているにもかかわらず、更に広告である大切な看板まで撤去しなければいけないという状況にがっかりされております。私が見る限りでは、その看板は奇抜な、いかがわしいものとは思えず、景観を損ねているとも感じられませんでした。条例不適合となっていない看板と見比べても、撤去されなければいけない看板と、どこに違いがあるのかが、わからないと思う看板も見かけます。
芦屋市にとって市章が市役所の所在を示す大事なシンボルであるのと同じで、お商売をされている方にとっても、所在を示す大事なお店の看板です。これまで芦屋市の景観を損ねていなかったにもかかわらず、屋外広告物条例が後からできたことにより、条例不適合と判断されたのでは、すぐに受け入れられないとなるのも理解できます。判断基準のバランスについても、ちょっとの差で規定から外れている方と、とんでもない色を使いあきらかに景観を損ねている看板の方が、同じ扱いなのも不公平ではないかというお気持ちもよくわかります。
平成28年7月1日に条例が施行され、改修又は撤去を行なう場合の費用の一部に助成があり、当初3年間は充実した内容でした。しかし、その間にご理解いただけないまま、なぜご自身が適合しないのかも、把握できないうちに、期間が過ぎ補助金の額が下がってしまったという方もおられます。
また、ガイドラインの内容がよく理解できなかったけれど、言われるままに撤去に応じられた方もおられます。条例は一応決まり事を書いているガイドラインにすぎません。当局は現地視察を行っていると思いますが、遠越しにみて初見でもわかりにくいならなおのこと、市民の方がご自身のところで何が悪いかすら見比べるのも困難な状況なのは明らかです。確認するための費用も必要となります。
しかしながら既に今の制度で、看板を改修・撤去されている人がおり、公平性の観点から条例のルールを変更することは難しいとは理解するところです。それならば、個人の看板が本当に条例不適合であるのかという判断をしっかりと見極めていただきたいと考えております。この条例は、規制するばっかりが目的ではないはずです、一番はどうやったら美しい芦屋になるのかということを市民と共につくり上げていくための改善策であり、ご理解を求めていくところの話なのではないでしょうか。
「1点目、これまで、行政の周知や対応が不十分で、ご理解をいただくための努力が行き届いていなかったということはなかったのでしょうか。もっと個別の相談に丁寧にお答えする必要があると考えておりますが、ご見解をお聞かせください。」
「2点目、芦屋市は住宅都市です。住居が隣接しているところでお商売をされている方も多くおられます。地域で規制があることで、看板撤去の条件が変わってくるのであれば、そのことも考慮して、今一度、地域の内容についても緩和を検討することはできないのでしょうか。」
「3点目、今も続くコロナ禍とロシア・ウクライナ戦争による影響により、更に厳しくなる経済の動向が予想されますが、補助金の交付対象となる事業期間を令和6年3月31日から、今後も延長するお考えはありますでしょうか?市長のお考えをお聞かせください。」
質問席での質疑
一問一答の2質目以降では、これまで市民に周知されてきた市のガイドラインは正しく伝わっているのかという辺りを疑問点として取り上げ確認しました。この条例が出来てから既に看板を撤去されている方もおられます。しかし、まだ条例についてご理解されていない方や、お困りの方は少なからずいることは明らかです。
確認その① 県条例と市条例の違い
県が定めた兵庫県屋外広告物条例というのがあります。県条例の主な目的は、屋外広告物による事故を防ぐために定められました。老朽化した屋外広告物の落下、倒壊等による事故を防ぐためです。
この県条例だけで事故を防ぐ基準は満たしているという状況はつくられていましたが、芦屋市は当時の市長判断で景観も重視しましょうということで、更に厳しい条件を市独自に上乗せしたのが市条例だと私は理解しています。
また、市条例では地域の区分もつくっており、7つの指定する地域を設け、看板設置についての考え方として、地域別の特色を生かして判別できるような規制を定めています。
確認その② 芦屋市屋外広告物ガイドライン
条例を定めそれを市民にルールとして明確化しているならば、正しく伝える周知も大事です。「芦屋市屋外広告物ガイドライン」は、市民に向けて分かりやすく伝えるための、言わば取り扱い説明書の役割を果たすものです。
「芦屋市屋外広告物条例施行規則」というものが法令上で定められている内容となりますが、文章だけでは分かりづらいということで、当局は市民向けにはこのガイドラインを活用してもらうようにしていました。
👉芦屋市ホームページ『芦屋市屋外広告物ガイドライン平成29年4月』
兵庫県の方も県民に説明するためのガイドラインが作られています。
確認その③ 複合地域と壁面突出の高さ規制
看板の高さ規制にしても、県条例より厳しくなった市条例の方が規則性を上回り、当然優先される条件となります。そこで、一般質問では複合地域における壁面突出を例にとって確認していきました。
市→ 県よりも更に低めに位置するような規制をかけており、県の条件と同じではありません。高さは上端からと指定しており、7つの地域は統一して4.5m以下の規定となっています。
たかおか知子の見解
ここまでの説明で、何だかおかしいと思われませんか?
地域ごとの規制では、どこの地域も壁面突出の高さ規制は同じ条件でした。しかし、上記に示されている市ガイドラインの図を見ると、右側の複合地域と広告物誘導特別地域だけ、市条例ではなく別の高さ条件が示されています。きっとこれをご覧になった方は、ガイドラインの内容で良いと思われても不思議ではありません。私がそう感じた1人でした。
この市のガイドラインを見た時、非常に意味不明であり、不適切な明記であると私は考えました。優先的に市条例を定めているならば、左で示された図と同様に、⭕の所は上端から高さ4.5m以下と記されるべきです。しかし、ここはそう記載されていませんでした。
現在、不適合な看板の指摘を受けられている方々に対し、撤去や改修のご理解を求めていく中で、このような不適切な表現を平成29年版から示したまま、以降そのことに気が付かず表示を残して誤った周知を見過ごしていたのであれば、不誠実な対応だったことになります。
この項目を私がとり上げた理由と要望
これまで市は、景観重視という上辺の良い面ばかりを持ち上げてきましたが、一方で先読みできる実施状況についてはあまり予測をたてずに、方針を掲げることを優先で事業を進めてきた傾向があるのではないかと考えました。
何故なら、看板不適合ということで撤去命令が出されている方の置かれている環境や状況についても、市は明確に現状を把握し、個別対応にもしっかりお答えできているのか。ということが気になっていたからです。
転居され新たなオーナーが所有者となられている箇所も増えてきています。仲介業者や後継となったテナント側が、詳しく条例の説明を受けていないまま、状況を知らされていないという場合も出てきているはずです。
安全基準は満たしている県の条例に比べ、芦屋市の条例はとても厳しいものです。まちなみにふさわしい広告景観が形成されたとしても、一方でそれが看板撤去により経営に影響を及ぼす方もいます。街からお店が消え閑散としたまちなみばかりが増えても、それでも良好な景観が守られているから、芦屋は住環境がすぐれているとなっていくのでしょうか。
今回取り上げた複合地域のような場所に関して言えば、もう少し商売人のやりやすさという寛容な目線も持ち合わせ、活気のあるまち作りも芦屋には必要だと私は思っています。引き続き個々の状況をきちんと把握して、個別相談の対応に取り組んでいただくことを望みます。
市民と共につくり上げていく安心安全な景観を目指すのであれば、偏った強制的なしわ寄せや、不明確な点は残さず取り組んでいただきたいとお願い致しました。
インターネット中継の録画
👉芦屋市ホームページ『議会中継一般質問たかおか知子 令和4年6月16日』
👉芦屋市ホームページ『たかおか知子の一般質問10回目議事録』