はじめに民意とは・・・
「あなたの声は、行政に届いていますか?」
多くの住民さんが日々感じている疑問ですが、実際には「届いていない」と感じている人が多いのではないでしょうか。私が議員になることを決意したのも、改めてそのことを深く考えさせられる私自身の体験に基づく出来事があったからでした。
しかし、議員になってからも、より多くの情報が入る立場になったことで、かえってそのジレンマを強く感じるようになりました。行政には多くの意見が届いているはずなのに、なぜ真に住民の声が反映されないのか。私たちの声がどこかで埋もれてしまっていると感じることばかりです。
最近、さらにそのことを深く考えさせられる出来事がありました。それは、県と市が突然に議会へ発表した『南芦屋浜南護岸等の利用制限について』というお知らせが発端でした。この通知は、「南芦屋浜の南護岸・東護岸エリアを全面的につり禁止にする」という通知でした。この情報を知った多くの皆さんが「なぜ急に?ここの範囲だけ?どういう経緯で?」と、困惑されたのではないでしょうか。私も同じ疑問を抱きました。
そして、話を聞けば聞くほど、違和感と疑念が膨らみ、調査を進めるうちに、ついに真相にたどり着きました。その事実を一言で表すと、「地元を代表する要望だと行政が信じたものは、一部の住民の個人的な利害関係が反映された意見にすぎなかった」ということです。私がここまではっきり言い切れるのは、それを裏付ける数々のエビデンスが揃い、その事実へと導かれたからです。
この決定は、作為的と言ってもよい状況の中でつくられた「要望書」を行政が聞き入れたものであり、県と市がそのことを見抜けずに、執行を発令した結果、多くの市民の「民意」を侵害する事態を招いたと言わざるを得ません。これは単純に賛成や反対といった市民間の意見の対立や誤解の話ではなく、地域を代表する組織の名が不適切に利用され、意図的に偏った意見が主体となり、行政執行が進められようとしていたことなのです。
こんなことは決してあってはならないことなのですが、『異例の事態』と言えるかもしれません。では、その全容をエビデンスと共に、皆さまに順を追ってお伝えしていきます。
釣り禁止エリアと指定された場所
まず、はじめに『釣り禁止エリア』の対象となった場所は、芦屋市内の最南端に位置します。公共施設地区であり、涼風町の南側と東側に面する魚が釣れる護岸の場所です。この護岸は県の管轄下にあり、『兵庫県 阪神南県民センター 尼崎港管理事務所』が管理しています。住民との意見交換は県職員と行いますが、護岸の先には散歩道や緑道などがあり、その部分は芦屋市道路・公園課の管轄となるため、協議には市の職員も入って行います。ただし、今回のように護岸の管理に関する決定権は、県にあります。
では、行政の一連の決定を私が「おかしい」と感じ、詳しく調査を行うに至った経緯を、日付を追いながら振り返っていきたいと思います。
●7月21日
私は市民の方から「南護岸の釣り開放区が8月1日から全面釣り禁止になることが決まったと聞いたのですが、本当かどうか確認してほしいのです。」というご相談を受けました。私もこのような話は初耳だったため、「そんなことはないだろう」と思いながらも、念のため次の日に、県と市に確認を取ることにしました。
●7月22日
県の尼崎港湾管理事務所の担当者である課長(以下「県の課長」という)に確認したところ、この決定は事実でした。10ブロック会会長から要望書の提出が7月6日にあり、8月1日から釣りを全面禁止にすることを決定し、県の課長は「南芦屋浜地区の地元の総意であると受け止めている。」と話してきました。市の道路・公園課の課長に確認しても同様の返答でした。
私が、『釣り全面禁止』になるという決定を正式に知ったのはこの日が最初です。
市議会議員各位に「議員用:060724南芦屋浜南護岸等の利用制限について」という通知が、メールで届きました。
件名:南芦屋浜南護岸等の利用制限について
内容:南護岸等を釣りができないエリアとすることについて
会合の中で、県と市が語った内容
同日(7月24日)、県と市が清掃ボランティア企業に対して、『南護岸等を釣りができなエリアにする』という経緯を説明する会合に、私はオブザーバーとして同席させてもらうことにしました。
【出席者】8名
・兵庫県阪神南県民センター 尼崎港湾管理事務所 業務管理課(課長と主査)2名
・芦屋市都市政策部 都市基盤室 道路・公園課(課長と係長)2名
・ボランティア企業2名、兵庫県会議員1名、芦屋市議会議員1名
【県の課長の説明】
・10ブロック会から『釣り全面禁止』の要望書を受け取った。
・この要望について10ブロック会と2回協議を行った。
・協議の出席者は10ブロック会のメンバーであると認識していた。
・出席者は、10ブロック会会長と、地元住民を含む約10名。
【要望書について】
提出日:令和6年7月6日
宛 先:兵庫県 阪神南県民センター 尼崎港湾管理事務所 御中
芦屋市 都市政策部 都市基盤室 御中
件 名:南芦屋浜・南護岸東護岸での魚釣り全面禁止
提出者:芦屋市自治会連合会 理事 第10ブロック会 会長 (氏名と続く)
【決定に至った主な理由】
南芦屋浜地区を代表する10ブロック会の要望を地元の総意として重く受け止め、2回の協議の結果、この範囲の『釣り全面禁止』を決定した。最終的に決定をしたのは、尼崎港湾管理事務所である。
説明されたのはこのような内容でした。ここで私は驚きの事実を知ることになりました。なぜなら実際に私が把握している出来事とは、まったく状況が違う話が出てきたからです。私は、早速ここまでの説明に不審を感じ、10ブロック会に事情を提供するとともに、決定された内容をSNSで発信を行い、広く情報の共有を行いました。
No.2 兵庫県が決定した南芦屋浜南護岸等の『釣り禁止』の裏に隠された驚きの真相!につづく・・・『行政が決めた釣り場全面禁止の根拠に潜む矛盾3点』