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兵庫県は人の心をもてあそぶオモチャじゃない!選挙本来の意義を取り戻すための本音⁉

デマと感情に流されないために選挙の本当の意味を考える

 

はじめにお伝えしたいのは、今私が向き合っているのは、『無責任に流される情報』と、それによって選挙本来の意義が損なわれている危うさかもしれません。選挙は私たちの未来を決める重要な場であり、酷い言葉で誰かを陥れる場所ではありません。私たち県民が重視しなければいけないのは、事実に根ざした冷静な判断と行動です。

兵庫県知事選挙が始まっています。この選挙は、斎藤元彦前知事が在任3年目で県議会から全会一致の不信任決議を受け、知事を失職したことに伴うものです。そのため、知事不在となった職席を埋めるための選挙が急遽行われることになりました。

不信任決議の背景には、県庁内でのハラスメント問題がありました。職員からの告発や、関連する職員の自殺などの問題が相次ぎ、知事のリーダーシップや問題対応の在り方に疑念が生じたことが、県議会議員86人全員の不信任案が可決へと決定づけられました。

私は、元知事が失職に至るまでのテレビやマスコミの報道を冷静に見守っていました。私には、どうしても理解できなかったことがありました。それは、元知事の行動です。普通であれば、根拠のないことを言われたら徹底的に否定して反論するものですが、電波から県民が目にする元知事の姿は、常に冷静で、感情を表に出すことがありませんでした。表に見える彼の姿からは、パワハラをするような人物には見えなかったからです。直接話したことはありませんが、ここまで本心が読めない方は珍しいと感じました。

また、そうした状況の中で、ネット上では元知事を支持する人々から陰謀論を唱える声も見られ、元知事を援護する声が増えていました。私自身も、あまりにも謎の多かった、冷静さを保ち続ける元知事の態度を見ていると、「もしかすると、組織内のクーデターのような策略にはめられたのではないか」と、そんなテレビドラマにあるようなことを一瞬想像したこともあります。


無所属の信念を貫く政治の原点を教えてくれた人

 

そんな中で選挙が行われ、最初に立候補を表明されたのは、尼崎市で3期12年市長を務め、2期県議の経験もある稲村和美さんでした。稲村さんは一度は政治家を引退する形をとっていたため、まだまだ有能な政治家であるのに活躍されないのはもったいないと感じていました。そんな方が、兵庫県の現状を見て「何とかしなければ」という強い思いで立候補を決意されたのかと思うと、大変ありがたくなり嬉しく感じました。

稲村さんと初めてお会いしたのは、私が議員に立候補することに自信が持てず、ためらっていた頃のことです。ちょうど稲村さんが市長選に挑んでいた時期でした。政治のことをほとんど知らなかった私は、生の選挙活動を一度経験しようと、一日だけお手伝いさせていただく機会を得ました。その時、稲村さんが無所属として選挙に臨み、アットホームな支援者の方々との和気あいあいとした雰囲気に触れ、私の中で政治のイメージが大きく変わりました。この時に、私もどこの政党にも頼らず、無所属で活動する信念を持というと決意しました。

そして、私は私なりの選挙をすればいいのだということを教えられたようでした。信頼できる仲間たちと楽しい選挙を目指そうと思えるようになったのです。実際に私の陣営は、私と同じく選挙の素人が集まったチームでしたが、皆で力を合わせ、緊張感がありながらもいつも笑いが絶えない充実した選挙活動ができました。

👉たかおか知子のブログ『(2023.3.31)変革を目指して新人議員が見た地方自治の本当の力とは ー 新人議員の本音 NO.100』

稲村さんが市長を務めていた時代、何度か尼崎市に行政視察をさせていただきました。私が芦屋市でも目指したかった、放課後の子どもたちの居場所づくりや子育て支援、職員の意識向上のための働き方改革、公募型寄付制度(クラウドファンディング型の寄付)など、尼崎市から学ぶことは非常に多くありました。いつも好意的で、共に無所属の女性市議たちを快く受け入れてくださり、いろいろ教えていただきました。

👉たかおか知子のブログ『(2021.11.16)他市の女性市議と尼崎市の行政視察へ』

尼崎市長になられた最初の頃は、やはり議会からの風当たりもかなり厳しかったようです。でも、自分の信念を曲げることなく、対話を重視し、信頼を築いてこられました。その当時から、どのような思いで市政に取り組み、市民や職員、議会との絆を育みながら信頼を築いてきたかを直接伺う機会がありました。また、職員の皆さんが積極的に提案し、率先して働く姿もとても生き生きとしており、これも、成果に応じた評価を行うというリーダーの実行力があってこその姿だと感じました。

だからこそ、今の兵庫県政に欠けてしまった「対話と信頼の輪」を、稲村さんの力で取り戻していただきたいと、大きな期待を抱いたのです。私は単に安易な考えで表面的な理由だけで、誰か一人の候補者を全面的に応援したりはしません。その点をご理解いただければと思います。


ネット上で繰り広げられる『正義』の矛先が変わるとき

 

さて、失職となった斉藤元知事ですが再出馬しました。世間の反応は、ネット上に溢れ出ている情報に加えて、元知事を援護する目的で立候補した立花氏の登場によって、さらに加熱していきました。立花氏は、ハラスメントを告発した元県民局長に関する不適切な情報を入手したと称し、その内容を街頭演説で拡散し始めたのです。その演説を聞いた人々の中には、それが事実であれば告発者の元県民局長が指摘されるべき問題だと捉える人も出てきました。

また、元々ネット上には陰謀論を想像する人々がいたため、立花氏の発言はあたかも「隠蔽されていた真実を暴露する正義の言葉」のように受け取られていきました。そして再び、「マスコミに騙された」「県議に騙された」と書き込む人が増え、これまで斉藤元知事を悪人扱いしていた人たちが、「ごめんなさい、それは間違いでした」と自分の発言を訂正し、今度は告発者に対して誹謗中傷を始めるようになったのです。

元知事がメディアで批判されていた際に、酷い言葉を浴びせていた人たちほど、後になって「ごめんなさい、テレビに騙されていました」と責任転嫁しています。しかし本来は、自分の発言に責任を持たず、他人に悪口を言いふらしてしまった自分自身が責められるべきです。マスコミが悪いわけではありません。

「嘘でした。私も騙されていました」と言う人ほど、かつては斉藤元知事に対して酷い言葉をSNSで拡散し、追い込んでいた張本人です。本来、他の誰かを責められる立場ではないはずです。それでもまた、別の誰かを悪者のターゲットにし、かわいそうな人を庇う正義の人であるかのように振る舞いたい人たちがいます。結局、言葉の暴力で他人をどん底に陥れたのは、他でもなく「マスコミが悪い」と言っているその人たち自身なのです。

ところで、メサイアコンプレックスという言葉があるそうです。自分が「他人を救うべき存在である」と強く思い込み、助けを求められていなくても「弱い人を守る自分は正義だ」と感じてしまう心理状態を指します。このような人は、他者を救うことに執着し、救済者としての自分に酔ってしまう傾向があります。メサイアコンプレックスに陥ると、自己の善意を強調するあまり、知らない間に誰かを平気で傷つける行動をしていても、それが正義だと感じるようです。

また、自分が「守っている」「助けている」という感覚に自己満足しやすく、この現象の背景には、かつて斉藤元彦前知事をネットで魔女狩りのように攻撃していた人たちの矛先が、今度は亡くなられた県民局長や対立候補の稲村和美さんに向けられています。結局、「守ってあげている」という対象者が変わっただけで、またもネットの情報を鵜呑みにし、同じような行動を繰り返しているだけだと思います。


選挙を通して見えてきた過激化する応援の危機感

 

一般的に人は誰もが「良い人」と思われたいという気持ちから、行動を選択しているように思います。ただ、本人たちはそのつもりでも、他者への書き込みに対する攻撃は非常に過激で、内容は目を覆うほど酷いものでした。そこで、しばらく私も「X」や「TikTok」で、稲村候補のことについて書き込みを試みましたが、斉藤候補の支持者の方々から、稲村さんやその応援者、私へ向けられた批判の言葉を浴びせるコメントの嵐に遭いました。今度は、矢面に立たされている新たなターゲットを決め、悪者とし、再び言葉の暴力を浴びせていたのです。

私は、元知事を応援している人たちがそうした行動をとることにがっかりしています。これのどこが正義なのでしょうか?元知事が返り咲けば感動をもたらす奇跡の大逆転となるのでしょうか?ただ単純に「人に罵声を浴びせる」ことが、応援の正しい姿だとは思いません。人格否定のように、平気で人を傷つけることをいい、対立候補の評判を落とすことが、本来の応援の言葉ではないはずです。

SNSは同じ趣味や関心を持つ人々が交流を楽しむためのコミュニケーションツールであり、不快なやり取りにまで対応する必要はないと考えています。そのため、私はこれまで、ユーザーの選択には特定のルールに基づいて「ブロック」を行っています。ブロックする際の基準として、相手からのアクション(コメントやリポスト)があった場合、必ずそのアカウントの過去の書き込みも確認しています。一方的に暴力的な言葉を使う人、他者を見下す発言が多い人、対立候補に対する悪意ある投稿を繰り返す人、または思想的に攻撃的な傾向が見られる人とは、私の考え方が合わないため、早い段階でブロックしています。

ただし、それでもコメントに対して返信を行う場合もあります。その理由は、誤解やデマに基づく書き込みを事実に塗り替えるためです。目に触れる情報の正確性を保ち、他の方へのデマの悪影響を防ぐことを目的として回答を残し、その後は「ブロック」しています。

批判的なコメントの中には、告発者である元県民局長に対するものもあります。中には、「実際にはハラスメントはなかったのに、ただ斉藤元知事を引きずり下ろすために企てたことだったのではないか」と疑う声もありました。しかし、はたしてそうでしょうか。ハラスメントの訴えの対象が組織の長である場合、訴える側には相当な覚悟と、状況を改善したいという強い意志が必要です。権力者を告発するのですから、報復のリスクも覚悟して行動したはずです。そこまで自分を犠牲にして、ただ誰かを陥れるためだけに人生を賭ける人が、そう簡単に現れるものでしょうか。

次に、「マスコミに騙された」と言っている批判についてはどうでしょうか。いくらマスコミでも、裏付けができていないような、後で訴えられる可能性のある根拠なく情報は表に出しません。ただし、文章に脚色を加えて面白く書くことは時にあるかもしれませんが、私はそれが印象操作だと感じています。それにしても、各報道機関は、実際に記事にする内容の根拠がない限り、後々表に出して問題になるリスクはなるべく避けるものだと思います。

しかし、ネットは違います。その責任の重さが異なるからです。切り抜き動画などは、無責任に投稿されることが多く、投稿者の多くは匿名で素性も明かしていません。そうした情報は、さらに信用できないものだと、今回の選挙の状況を伝えている動画を見ていて、確信にかわりました。その拡散力を利用してデマを流しているのが多数あったからです。


新たな始まりを求めて信念をかけ立ち向かう政治家たちの姿

 

選挙が始まり、稲村さんを応援する立場を表明する首長や議員の応援者たちが、各地で演説やSNSを通して、元知事のこれまでの行動に関する「動かない事実」を主張し始めました。失職した知事の返り咲きではなく、新しい知事の誕生に兵庫県の未来を託したいという望む思いです。その姿は、自分の支持者との絆をかけて、その信念に基づいて決意しているように見えました。私も同じ思いです。

いつのまにか反斉藤援護派と言われるようになった政治家たちが、元知事への支持を煽るつくられた風潮の中を逆行して、連日のように、新しい知事の誕生を心から支援しているのは、単に好き嫌いで候補者を選んでいるわけではなく、むしろ、自分の見られ方というリスクを冒してまで、兵庫県を何とかしたいという思いで取り組んでいるからです。それぞれが自身の考えを懸命に訴え、選挙応援に挑んでいるのです。

私は今回の選挙が、大衆の心がまるで弄ばれているかのような状況に強い危機感を抱いています。この選挙によって、これまで志を持って取り組み、多くの方に支持されてきた政治家たちの信念や熱意までもが、計り知れない見えない圧力によって壊されてしまうのではないかと懸念しています。大抵の人は自分の身を守るために行動しますが、批判されるリスクを背負ってでも、政治家たちが、一人の候補者のために一緒になって戦っている人がたくさんいるというのは、よほどの事態だということです。

他方で、これほど荒れた選挙では、意思表示をすることを怖く感じる人がいても当然です。そのため、中立の立場をとる首長や議員も少なくありません。ある意味では賢明な選択かもしれませんが、私は「中立の立場」を表明しつつ、実際には責任を負わない姿勢をとる人たちを、自分の保身しか考えていない、最もずるい存在だと感じています。

市長リコールとは、過去の状況をリセットし、新たな出発点を築くものです。同じ人にもう一度知事を任せたいのであれば、単純にその候補を応援すればよいだけです。それと同じように、新しい候補者に期待する人たちも、元知事を陥れたいわけではなく、ただ新しい人材による再出発を望んでいるにすぎません。現在、新しい候補者を必死に応援している市長や地方の市議たちは、斉藤県政に対して最初から否定的な意見を表明していたわけではなく、ただ現状に対して立て直しの変革を望んでいる人たちです。


無責任な情報に惑わされないために真実を見極める力

 

ところで、私は斉藤元彦前知事の失職が決まり選挙に再出馬されるまでは、話題に取り上げたり情報発信をすることはありませんでした。選挙に突入して、いつものように静観するのも一つの方法かとも考えましたが、しかし、この選挙が本来の正しい姿から大きく逸れてきていることを受け、選挙を正常化させたいという思いで、SNSを発信することにしました。デマを流したり、それを鵜呑みにして他人を攻撃したり、卑怯な手段で選挙を妨害する行為は間違っていると、主張したいと考えたからです。稲村候補を全力で応援している市長や市議たちも同様に、選挙が始まってから元知事に関する否定的な事実を指摘していますが、それは動かぬ事実を主張しているにすぎず、大切なことを伝えています。

何が本当かわからないと言う声もよく聞きます。そう思われるのであれば、無責任な発言は避けたほうがいいと思います。また、はっきりとした意見が持てないまま「なんとなく皆が言うから」で投票するくらいなら、白票を投じた方がましかもしれません。大切な一票を無責任に使う人を増やしても、兵庫県の暮らしが良くなるとは私には思えないからです。

私が特定の候補者を応援していると答えると、いろいろと疑問を質問してこられる方がいます。しかし、候補者への質問であれば、間接的に知り合いや私の考えを聞くのではなく、候補者本人の話を直接聞いてみてください。候補者が話している動画もあります。かといって候補者の施策を見ても演説を聴いてもわからないと言う方もいます。さらには、本人がデマを否定していても「嘘をついている」と感じ、候補者の言葉が信じられないのであれば、答えは出ています。そんな候補者を選ばなければいいだけのことです。信じられない人を選んでも、この先も信じ続けることは難しいと思います。

人は、自分が信じたいことを真実だと思いたいという傾向があり、私の言葉もまた、同じように捉えられるのかもしれません。結局のところ、何を言うかではなく、誰が言うかで判断してしまうのが、今の状況を作り出した原因だと感じています。


信頼を築けなかったリーダーの責任が生んだ県民分断の選挙

 

SNSでの投稿を見ていて意外だったのは、「公益通報には、一定の書式で窓口に通報しなければならない」という誤解が広まっていることです。しかし、公益通報者保護法にはそのような規定はありません。上司への口頭での報告や、報道機関への文書提供も公益通報と認められることがあります。

公益通報かどうかを判断するうえで重要なのは、通報内容に信頼できる根拠があるかどうかです。また、公益通報として認められるためには、「不正な利益や他人への損害を目的としないこと」が条件です。もし通報が個人的な恨みに基づいている場合は、公益通報には該当しない可能性があるそうです。

一方で、元知事側は、部下が第三者調査委員会の設置を提案したにもかかわらず、先に告発者捜しを指示したとされています。知事はこれを「リスクマネジメント」として誹謗中傷を防ぐための対応だと説明していますが、職員を警察へ向かわせ名誉毀損として訴える相談をした際、警察から「公益性があるため、名誉毀損には該当しない」として、取り合ってもらえなかったことを考えると、その行動は矛盾しているように見えます。これもまた、紛れもない「動かない事実」です。県議会の議会中継、議事録でも出てきます。

ところで、自分が応援する候補者と異なる人を支持しているからといって、その人が敵であるわけではありません。このように、県民を分断するような事態を招いた原因は一体何だったのでしょうか。ひとつどうしても言いたいことがあります。このような選挙の混乱を招いた原因が誰にあるのか、ということです。県議でも、告発者でも、マスコミでもありません。職員との信頼関係を築くことができなかった一人のリーダーが取ってきた行動こそが、今の混乱した兵庫県の状況を生み出す発端となったのです。この混乱を収束させることもまた、リーダーの道義的責任です。しかし、この意味について斉藤元知事は「わからない」と言い続けてきました。それでも何もせず、黙って見ている候補者の行動が、けなげで美談として称賛されるものなのでしょうか。

そして、兵庫県の市長や県議会、県職員との間に信頼を築けなかったこともまた、動かしがたい事実です。


ねじ曲げられてはいけない県政で起きた動かない事実

 

今回の選挙では、対立候補の支持者による嫌がらせが酷く、暴力的な言葉を発したり、相手を蔑むような陰険な行為が横行しているのを目の当たりにしています。もしかすると私がこれまで気づいていなかっただけかもしれませんが、これほどまでの状況は初めてです。私は2回自分の選挙を経験しましたが、こんな風に嫌な思いをしたことは一度もありませんでした。そして、今、私が本当に恐ろしいと感じているのは、この選挙がどんな結末を迎えるかということです。選挙が終わった後のことを想像してみました。

斉藤元知事が再び勝利を収めることを期待している人々は、彼がどん底から這い上がる姿に「正義」を見出しているように感じます。そしてもし彼が逆転劇を遂げたなら、その支持者たちは自分の選択に誇りを持ち、反対候補を応援していた人々を軽蔑し、まるで非国民を見下すかのような態度をとる。そんな光景がひしひしと目に浮かびます。それは、SNS上の投稿者の卑劣な書き込みを目にする度に感じ取れることでした。

もしかしたら、選挙後のことを考えると、誰が県知事になっても、人々の行動や考え方が変わらなければ、きっと良い政治は実現されないないことのようにも思えてしまうのです。むしろ、良い政治を行おうとしてもできない状態に陥ってしまうのではないかと危惧しています。知事として誰が適任かという問題の前に、今回の選挙には、また同じような悲劇が繰り返されるのではないかという予兆を感じます。

どの立場の人であっても、選挙は勝ち負けで人の価値を測ったり、人格を否定する場ではありません。私たちは、ただ自分が応援したい人を応援しているにすぎず、その選択は自由です。応援者同士も敵ではなく、ただ信じるものが違うだけなのです。

残念ながら、ネット上では、まだ結論が出ていない不確かな情報に飛びつき、誰かを悪者と決めつけて言いふらす行為が繰り返されており、これは虚偽事項公表罪にも該当しかねない言動です。斉藤元知事がパワハラの疑いで報道された時も同様でしたが、今回は元県民局長に対しても同じような決めつけや情け容赦のない言葉が飛び交い、同じ現象が繰り返されています。

全会一致で不信任案が可決されました。これは、県会議員86人全員が3年間の県政を見た上で、知事としての資質に欠けていると判断した結果です。一人も反対する人がいなかったという事実が、状況の深刻さを物語っています。仮にどんな陰謀や策略があったとしても、全員が騙して誰かを陥れるようなことができる政治家であるなら、それを選んだのは県民である私たちです。自分たちが選んだ議員全員の判断を否定するのでしょうか。

後になって「あの時は賛成せざるを得なかった」と言う県議も出てきていますが、私はこうした発言をする人こそ、最も信用できません。本当に問題がないと感じているのであれば、その場で反対を表明するのが当然のことです。もし悪くない人に失職を迫ったのだとしたら、それこそ卑劣な行為であり、そのことに有権者が気づかないのが不思議でなりません。

一度失職した知事が当選することで、一度駄目だしをされて失職したということが帳消しになることはありません。そのための名誉回復の選挙ではなく、単に次の兵庫県政のリーダーとして新たに期待が寄せられたにすぎません。また、反対に元知事以外の候補者が当選したとしても、それは元知事が人として駄目だという証明ではなく、次の兵庫県のリーダーとして認められなかっただけのことに過ぎません。

いかなる理由があっても、過去の県政において「告発者探しに繋がった行為をとった知事」という動かぬ事実は変わらないことです。変わったのは世間の捉えられ方であり、事実そのものが変わったわけではありません。情報が古いとかそういう問題ではないのです。

「動かない事実」とは、たとえ時間が経っても変わらない、揺るぎないものです。こうした事実は、不確かな情報によって上書きされることはなく、常にそのままの形で残り続けます。時間が経っても変わらない事実の重要性が、今回の件で改めて伝わりました。


命の重さを守るために求められる制度の改善

 

告発者に関する文章についても触れておきます。怪文書であろうと、内部告発であろうと、匿名の文書に虚偽の内容が書かれていたとして、それだけで他の人が本気で名誉を損なうようなものだと思うでしょうか?普通は、因果関係に基づく悪口だと感じるはずです。さらに、それが事実無根の誹謗中傷であるなら、名誉を毀損された当事者が胸をはって、文書の公表者を訴えることができるはずです。

訴えられた側の当事者である斉藤元知事が、与えられた権力で行動したことが、逃げ道を探すかのように見え、何がなんでも処分を行おうとしている姿勢を疑われてしまったわけです。そのような行動を取らずとも、部下の提言通りに第三者委員会に判断を委ねていれば、正当性を証明するお墨付きも得られたはずなのにです。

議論の争点が「怪文書」か「公益通報保護の文章」かを判定し、どちらが正しいかを追及する以前に、県庁で二人の職員が自ら命を絶ったという事実があります。その人たちがどのような人物で、自害の理由が何であろうが、命が軽んじられて良いわけがありません。人の命の重さを、私たちは決して忘れてはならないのです。

最悪の結果を防がなければならなかったにもかかわらず、こんな事態が発生してしまったことを考えると、「やり方に問題があったのではないか」と言わざるを得ません。では、誰のやり方に問題があったのか?県の運営において最大の権力を持っていたのは誰だったのか?その人物の判断ひとつで防げた可能性はなかったのか?このように考えるのは、ごく自然なことです。

仮に、告発した側にもリークされるような行いがあったとしても、それは新たに生じた別の問題であり、その人が告発した内容全てを否定することはできません。告発内容の中にあるパワハラの有無については、現在、百条委員会で職員のアンケートやエビデンス調査、ヒアリングを通じて判定しているところでしょう。

👉兵庫県議会文書問題調査特別委員会より『令和6年10月11日「兵庫県職員アンケート調査」郵送回答文報告』

なお現在、この兵庫県での事案を受けて、内部告発者を保護する制度である「公益通報保護法について消費者庁が見直しを検討しているのは、この法律に対して多くの人が不信感を抱いている証拠でもあります。一般人同士の争いとは異なり、知事という立場で告発者探しに乗り出したことが適切ではなかったという判断が働き、再発防止に向けて改善策が進められているのだと思います。


結びとして・・・

 

どこかのタイミングで、今回の兵庫県知事のハラスメント問題や2024年の兵庫県知事選挙について、選挙後にでも事実経過をもとにブログにまとめたいと考えていました。しかし、選挙中に早い段階でこの問題に触れることとなりました。これは単に次の兵庫県知事を決めるだけの話ではありません。本気で兵庫県とその県民のための政治が揺らぐことを案じているからこそ、今、この場で声を上げる必要があると感じています。

冒頭に関連して、私が今回の選挙で「何と戦っているのか」についてですが、もちろん特定の候補者を応援する気持ちは真実です。しかし同時に、無責任に拡散される情報に対しても立ち向かっています。大切な一票が、感情的な影響や噂によって左右されるのではなく、事実に基づいた正しい選択につながるようにと願っています。そのために、選挙が本来の意義を取り戻せるよう、市議としての責任を持って声を上げています。ここまでお読みいただいた皆さまに、この意図をご理解いただけると幸いです。

 

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たかおか知子
芦屋市議会議員

たかおか 知子TOMOKO TAKAOKA

Mokosoft株式会社を設⽴し代表取締役に。第⼆⼦を出産と同時に芦屋へ。
町内の課題にぶつかり、初代⾃治会⻑になることを決意し3年間務める。
地域での課題解決を⽬指し、⾃治会ブロックの南芦屋浜地区会⻑を兼任し
市内全域へ活動範囲が広がり、芦屋市⾃治会連合会の副会⻑も兼任する。
2019年芦屋市議会選挙に無所属で出⾺し当選。芦屋市議会議員の1期⽬。

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