行政判断の落ち度が招く問題と住民参加の重要性
私は、令和6年9月の一般質問で、『シビックテックの導入による住民参加の促進』と『アプリを活用した予約システムの導入』というテーマを取り上げることにしました。この二つのテーマは繋がっていて、まず今回の『ブロック会の要望書』の事例を取り上げ、行政が民意を判断する際の問題と解決策を導くために、本当の意味で見える化した住民参加の重要性を求めたいと考えました。
行政が住民に対して意見集約の努力を簡略化し、偏った意見だけが尊重される状況では、本当の民意が反映されているとは言えません。このテーマを議会で取り上げたのは、より多くの市民に市内の現状や市政を広く知ってもらう環境を整え、一方的に声の大きい人たちの意見だけに流されることなく、幅広い民意を反映させる仕組みを行政と共に模索するためです。さまざまな実現可能なアイデアを再評価していくことで、新たな解決に導びかれると考えます。
例えば、今回のように「釣り禁止にするしかない」という白か黒かの極端な結論に至った解決方法では、逆に、釣り文化を大切にし、釣りを楽しんでいる市民の声は無視されたことになります。もちろん、マナーの向上や住環境を守ることは重要な課題ですが、なぜもっとその調和を図るための話し合いを持つことの重要性を理解してもらえなかったのでしょうか。お互いの立場を把握することで、相手の気持ちがわかり、これまで気づけなかった新たな視点や、別の発想で改善策が必ず見つかるはずです。
しかし、結果として、行政が間に入っておきながら、住民間を分断することになるやり方を取っていることが、私が最も腹立たしく思っていることであり、これからも指摘していきたいことでした。
現状を把握する前に知ってほしい南護岸の過去の状況
では先に、過去の護岸の様子について知っていただきたいと思います。要望書に記載されていた『現行の迷惑行為』の内容を検証するには、まずは過去の迷惑行為の状況を知っていただいた上で、現状を把握してもらおうと考えました。
この地区の南東護岸は、出来た当初から釣り全面エリア解放としてスタートしました。多くの来場者が訪れ賑わう中で、近隣住民は釣り客のゴミ放置等のマナーの悪さによる迷惑行為に長い間悩まされてきました。釣り愛好者に広く利用されてきた一方で、管理や対策が十分とは言えず、結果として迷惑行為が常態化した状態が放置されていました。
近隣住民からは「住居が近接している特殊な環境」であることを繰り返し訴えてきたものの、その意味を深く理解してもらえず、県の尼崎港湾管理事務所は「海岸法に基づく自由使用の原則」を理由に、釣り禁止にすることは絶対不可である、と住民を納得させてきました。この時の県や市が住民の悩みに対して、真剣に向き合い、積極的な対策を講じていたとはとても言えません。
ところが、ある出来事を境に、行政の対応は大きく方向を変えていきました。その出来事とは、2018年11月の台風による高潮浸水被害です。この被害を契機に、兵庫県は南護岸の高潮対策として復興工事に着手し、護岸は長期間閉鎖されることになりました。その結果、工事期間中は釣りができない状態が続きました。
この台風被害の後の2019年の4月に私は議員になったのですが、行政には、護岸の管理について、問題意識を持ってもらうために、繰り返しこの問題について意見を述べ続けてきました。特に、高潮対策工事後に護岸が再び釣り解放された時こそ、運営管理の改善が最も重要であると考え、建設的な協議が進むことを期待していました。過去の住民の苦悩をしっかり理解した上で、今度こそマナーの向上を目指して適切な対応を取ってもらえると期待し、これまで、南護岸等の状況を伝え続けてきたのです。
👉第10回目一般質問4項目(南護岸でのマナーの悪いこれまでの迷惑行為について)
👉たかおか知子HP「南芦屋浜の南護岸は釣り全面解放エリアに「なる?」「ならない?」行政の判断はいかに⁉」
南護岸における過去の迷惑行為を振り返る
では、過去の護岸の状況と、工事後にどのように変化したのかというところまでを、一般質問でモニターに映し出した写真を基に、もう少し詳しくお伝えしていきます。
これが、台風被害前の2017年、防潮堤ができる前の過去の護岸の様子です。
バイクが護岸内を走行している動画を撮影した時のものですが、釣りをする人のすぐ後ろを二人乗りをしたバイクが右から走り抜けていました。
護岸内にバイクが進入し放題で、釣り人のすぐ後ろにバイクが並んでいる状態が頻繁に見られました。
東駐車場前から、車が待機し、停車している様子です。
多いときは、住宅がまだ分譲されていなかったので、空き地の前は駐車し放題の時もありました。
西駐車場は、指定の枠内に停めきれず駐車スペースではない所に、車が停まっていたこともあります。
このゴミ山の写真は、シーズの時に、「ボランティが清掃をしなければ、どうなるのか?」という実験を行った時の状況です。ご覧のように、 次から次へとゴミが放置されていきました。
この実験を行った理由は、迷惑行為に悩まされていた近隣住民が、清掃活動を行ったり、行政に対して改善を求め続けていたにもかかわらず、一向に理解が得られず、具体的な対策が講じられなかったからです。県や市、釣り客に、このような状況をもっと深刻に受け止めてもらうために、住民が自ら策を講じました。その頃から、地元では「住居に近接していることを考えてほしい」と優先的に対策してほしいことを求めてきました。 改善が見られない場合は、「釣りを禁止にしてほしい」という意見も出されていました。
このような状況下で、行政が住民に対してどのような対応を取ってきたかというと…
県と市の職員は、「潮芦屋プランが策定されており、まちづくりはその計画に基づいて進められている」ということを、常に強調していました。
つまり、この場所は「海釣りが楽しめる場の形成」として当初から計画されており、海岸法による 『自由使用の原則』から釣りの使用を規制することはできないと、住民は行政から言われ続けてきたのです。
2018年に台風で被害を受けた護岸は破損していましたが、護岸工事が決定するまでの間も、釣り客が訪れていました。
中には、護岸破損による立入禁止の注意がなされても、釣りをする侵入者が後を絶ちませんでした。このような目立った行為があることで、近隣住民の釣り客に対する印象がどんどん悪くなっていきました。
地元の住民としては、もう二度とこのような釣り客による横暴な迷惑行為が繰り返されてほしくないという強い思いがあることは、私も十分に理解しているところです。
ここまでが2017年〜2018年頃の過去の南護岸等の様子でした。
住民の声が利用された?行政の急な方針転換に疑問
2021年に高潮対策工事が完了し南東護岸は再び開放されましたが、当初のように釣りエリアとして、すぐに全面解放されることはありませんでした。護岸解放からしらばくした後、釣りが可能なエリアと禁止エリアを分けた形で、試験的な開放が実施され、現在に至っています。
しかし、この試験開放には一定の期間が設けられていると説明されていたにもかかわらず、期間経過後も県から状況の評価や今後の方向性について明確な進展が示されないままの状態が続いていたのです。
そして、今回のように、何の前触れもなく、あっさり釣り全面禁止を決定したという事態がおきました。これまで海岸法や公益性を理由に規制が難しいと説明されてきた経緯を踏まえると、今回の対応には強い違和感を覚えました。これまで住民が県と市に相談するたびに聞かされてきた説明は一体何だったのだろう…。(時々の担当職員の判断によって、方針は容易に変更できるものだったということでしょうか。)まさしくダブルスタンダード。
この判断は、過去に県職員が住民に対して取ってきた対応とは大きく異なる急展開でした。なぜ、これまで優先順位が低く、重要視してもらえなかった「住居が近接している特殊な住環境」という理由が、今になって釣り禁止の最大の根拠として使われているのか?まるでその時々によって、行政が決定する度に、都合よく民意が利用されているかのように感じました。
行政がこのような対応を取る背景に、意見を述べる対象者の影響力によって住民意見に優先順位をつけて判断している事情があるのだとすれば、納得できるものではありません。また、これまでとは異なり「住居が近接している特殊な住環境」という理由が今になって持ち出され、それが正当化の根拠として用いられているように感じられ、強い不信感を抱かざるを得ませんでした。
No.4 兵庫県が決定した南芦屋浜南護岸等の『釣り禁止』の裏に隠された驚きの真相!につづく・・・『南護岸の迷惑行為、過去と現在を比較して見えてきたもの』












